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不在
あまり大きな声では言えないが、僕は田舎生まれ田舎育ちのせいか家が留守でも鍵が開いていることに何の違和感もない。
ただ、老婆と暮らしているのでむしろ心配なのは……
「救急車、呼ぼう!」
「落ち着いてください、蒼汰さん!まずは確認しましょう」
サクラは自分よりテンパっている人間がいると冷静になるタイプらしい。何だか心強い。
エントランスの灯りは普通に点いた。靴棚上のホワイトボードには『サクラへ。 パパママとご飯に行って来ます。22時頃帰ります。スマホ忘れてたよ。 トシ江』のメッセージ。
「肩すかしですね」とサクラが笑う。
その時、家の前に1台のバイクが停まる音がした。




