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どうにかなった
マツの母・ウメにとって、聡太は初孫だった。まさに目に入れても痛くない程だった。
孫が行方不明になり、痛々しいくらいに必死に生きる娘と共に、支え合いながら生きてきた。なぜ自分ではなく、あんなに可愛い孫がいなくなってしまったのかというどうしようもない想いを抱えながら。
その孫が、目の前にいる。
信じられない。あの頃から時が止まったままの姿。あり得ない。なのに、そんなことより。
「おかえり、2人とも。まず風呂に入って温まれ。」
雨も上がった頃、兄夫婦が帰ってきた。マツの兄・誠はおだやかだが豪胆な人物だ。いつもどっしりと構えている兄が、見たことのないくらい驚いていた。兄嫁は事態を飲み込めずにいる。当然の反応だ。一通り驚き終えて、深呼吸。
「間違いなく、聡太なんだな。………よし、俺たち夫婦の子として届け出よう。なに、うっかりしていたことにすりゃいいさ。俺は鼎造ジィさん似で口が上手いからな」




