四つ子。
おばばが、帰って来た。
ハクは許可が出たけど、長はまだ本館に入れないらしい。
お昼ご飯は、ハンバーグだ。
ミミが来るので、お供えのおすそ分けらしい。
なかなか肉々しいと思ったら、長が解体した鹿肉のハンバーグなんだって。
これはこれで、あっさりして美味しい。
ハクとユキは、生っぽい感じのタルタルステーキだ。
ユキは、それほど食べれないけど。
ユキの息が、荒い。
「おばば、ユキが!」
「陣痛が、来たみたいだね。」
「産まれる?」
「まだだよ、もう少し息まないと。」
「ただいまぁ。」
「あっ、ママだ!」
「ちゃんと、いい子にしてた?」
「うん、ユキが陣痛始まったって。」
「本当?間に合って、良かった。」
「産まれるのは、まだ先みたいだよ。今、おばばが介抱している。」
「そっか、スナック寿司買って来たわよ。食べる?」
「お昼ご飯食べたから、かんぴょう巻だけ食べたい。」
「そう、とりあえずユキの様子見に行こうかな。」
「おばば、ママ帰って来た。」
「圭子さん、様子は如何ですか?」
「なんだい麻里、改まって。」
「だって、ほら。」
「まっ、いいか。ユキは、多分日が暮れる頃には産まれるね。」
「今は、ヒールか何かかけてあげてるんですか?」
「いや、陣痛が治まったら産まれにくくなるからね。産まれたら、麻里のエクストラヒールかけておやり。子供は、柳山さんに任せればいいから。」
「わかりました、お寿司買って来たんで少し休んでください。私が、代わりに見てます。」
「そうかい、じゃあお願いね。」
「おばば、ボクがお茶入れる。」
「いい子だね、ついでに肩揉みもしておくれ。」
同い年なのに、本当に孫とおばあちゃんみたいだ。
ユキ、苦しそう。
私も、こんな感じになるのかしら。
頑張って、ユキ!
別館に戻ると、長が鹿肉のルイベで一杯やっていた。
「おぉ、帰って来たか?街の様子は、どうだ?」
「少し静かだけど、至って変わりないですな。ユキは、大丈夫ですか?」
「陣痛が、始まったみたいだな。日が暮れる頃には、産まれるな。柳山さんも、神事が終わったら寄ってくれるそうじゃ。お前も、社に行くのか?」
「顔だけ、出してきます。一応、当主ですから。」
「まぁ、急がんと一杯やっていけ。そういや、午前中にあのドアーフの男の子が来とったの。」
「何しに、来たんですか?」
「ユウナに届け物だけして、とっとと帰りおったわ。」
「そうですか、陽介には悪い事したな。これからも、ユウナを支えてもらわなきゃいけないのに。」
「しょうがなかろう、自分で選んだ道だ。眷属なんて、そんなもんじゃ。お前らも、親でもあり眷属なんだ。覚悟、せなあかんぞ。」
「そうですな、長達の無念を刻みますよ。」
長達も、やりきれなかっただろう。
女王は、何でも一人で抱え込む人だった。
その割には、社交的で色んな友人もたくさんいた様だ。
それが徒になったかは別として、護るべき者が増えて眷属に託して一人で突っ込んだ。
防御には秀でてはいるが、性格もあって攻撃手段はあまり持たぬ女王。
呆気なく、散ってしまった。
最後まで支えた麻里の両親も、あの世へ逝ってしまった。
俺は、ユウナに多くの事を望みすぎた。
強くあれ、賢くあれと、ワンコの頃から厳しく育てた。
おかげで、母性を知らない歪んだ子供になった。
そんな時、麻里と言う少女が現れた。
あのハイエルフの、忘れ形見らしい。
それはそれは、ユウナを目に入れても痛くないくらいに可愛がってくれた。
歪んだユウナの心も、少しづつ治ってきた。
そして、麻里はユウナの最強の母親としてそばにいてくれる。
やはり、子供には母親が必要なのだ。
いっぱい甘えて、たくさんぶつかればいい。
何かあっても、俺が何とかする。
俺は、父ちゃんだから。
社に顔を出して、別館に帰る。
何やら、慌ただしい。
「あっ、パパ。柳山のおっちゃんは、まだ社?」
「あぁ、どうした?」
「ユキの子供が、産まれたの。ボク、おっちゃん連れて来る!」
「ほう、やったな!気を付けてな。」
転移で、その場からいなくなった。
転移と言っても、一里四方だいたい4kmくらいしか飛べないが。
それに、連続で二度しか使えない。
使えるのは、ユウナとオリビアのママだけだが。
ユウナは、人も運べる。
やはり、優秀なのだな。
ちなみに、オリビアのママはコロボックルではなく真祖の吸血鬼らしい。
だから、いつまでも少女のままなのだ。
長を連れて行くと、近所のおばちゃん達が忙しなく動いている。
俺達は、玄関でぼぅっとしていた。
ハクも、うろうろと何していいかわからないらしい。
そこに、ミミ様がやって来た。
「お主ら、何している。早く、薪を持ってこんか。」
ユウナが、柳山さんを連れて来た。
「あっ、ミミ。おっちゃんも、こっち来て!」
ユキは、ママのエクストラヒールでゆっくり眠っている。
おっちゃんが、子犬を一匹づつ抱えあげる。
「元気な、赤ちゃんだ。白いのは、全員女の子だな。ブチのは、一人男の子だ。よくやったな、ユキ。ほれ、ハクやお前さんの子供達だぞ。」
「ハク、ユキをほめてね。」
ハクが、ユキの顔を舐める。
そのまま、子供達の匂いを嗅いでいる。
みんな、熱湯消毒された柔らかい布に包んで並べてあげる。
ユキが起きたら、授乳の時間だ。
ボクは、一人一人の顔を眺める。
なんだか、とても懐かしい。
ブチの子が、ボクに手を伸ばす。
抱き上げると、ママがこう言った。
「ユウナ、その子にするの?」
「うん…。」
ボクは、遠慮ガチに頷く。




