里帰り。
【あけましておめでとうございます!】
【おめでとうございます。】
「さっ、早よ上がって。」
「ユウナ、痩せたのか。目も、真っ赤っかじゃないか?」
「じいじ、それミューちゃんだよ。」
皆の冷たいジト目が、注がれる。
「ユウナ、お年玉で新しいカセット貰ったんだ。」
「何貰ったの、慎吾?」
「ジャジャーン、ルイジカート!」
「わぁ、凄い!それ、まだ発売前だよね?」
「三浦のおばちゃんが、ゲーム会社に言ってくれて。年末に、届いたんだよ。」
「ずるい、慎吾ばっかり!」
「麻里、身体はなんともないか?しんどかったら、しばらく居り。」
「ありがとう、今のところは大丈夫よ。ちょっと、荷物片付けてくるわね。貴方、車の荷物も降ろして。」
ゲームをやろうとしていたユウナが、麻里を見やる。
二階に上がる麻里に、コソコソついて行く。
「何だろうね、あれ?」
慌てて、ユウナがこっちにやってくる。
麻里も、降りて来た。
「ユウナ、どうしたの?」
「ううん、何でもない。慎吾、ゲームやろう。」
「あぁ、俺ワンコンな。」
「麻里、ユウナはどうしたんだ?」
「何が?」
「あれは、ママがいなくならない様に見張っているんですよ。」
「文太君、何でそんな事?」
「色々とあったんですがね、斯く斯く云々でして。」
「ありゃ、まっ!麻里、あんた良くやってるね。遂に、ユウナも反抗期かい。それに、赤ちゃん返りしそうだね。」
「やめてよ、母さん!これ以上は、私なんかには無理よ。」
「そうかな、麻里は別にそのままでいいんじゃないか。」
「父さん、どういう意味?」
「わしも母さんも、お前をずっと見て来た。それに、何でもかんでも一人で抱えこむな。文太君も、いるじゃないか。」
「そうね。」
「済まんな、役立たずで。」
「ホントに!」
「男親なんて、そんなもんだ。いざと言う時が、大事なんだよ。」
「お義父さん、ありがとうございます。」
「ユウナ、何飲む?」
「ボク、ミロにする。慎吾、牛乳取って。」
「俺もだな、粉入れてくれよ。」
二人で、ごくごく飲んでいる。
「ユウナ、こっちおいで。」
「何、ばあば?」
「フエッ、クゥ。」
ばあばに抱っこされる、ユウナ。
「慎吾、クロスボウの訓練しようか?」
「やった、兄さん着替えて来るよ。」
「麻里、わしも抱っこしたろか?」
「何でよ、お茶入れてくるわね。」
「麻里、お茶より御神酒がいいなぁ。」
「はぁ、自分でやってよ。お母さんって、何かスキルでも持っているの?」
「ありゃ、お母さん抱っこだな。お前も、飲むか?」
「一杯だけね、お母さん抱っこって何よ。」
「お前も慎吾も、小さい頃よくしてもらってたんだ。ただ、抱っこしているだけ。後は、何もない。」
確かに、ここに引き取られたばかりの頃よく母さんに抱っこされていた。
母さんの体温と拍動が、心地よかった。
あの頃の母さんは、今の私くらい。
そして私は、ユウナくらいか。
私の様に聖母でも無く、育児スキルも持っていない。
そんな母さんが、私を育ててくれた。
母さんだけのおかげでは無いけど、母さん無しでは今の私はいない。
「ばあば、ママが泣いているよ。ママ、どうしたの。ばあば、ママも抱っこして。」
「おいで、麻里。」
「あ~ん、お母さん!」
「ママ、甘えん坊さんだ。」
「ユウナ、ママのママがばあばなんだよ。ユウナも、ママに甘えん坊さんだろ?さっ、こっちおいで。じいじにも、抱っこさしておくれ。」
「じいじは、ママのパパ?」
「そうじゃよ、慎吾のパパでもあるがな。」
「そうなんだ、ママが羨ましいな。」
「どうして、羨ましいんじゃ?」
「ママのパパとママに、いっぱい愛されて。」
「ユウナは、愛されてないのかい?」
「ううん、いっぱい愛されてる。でもね、ママみたいにボクは何も返せないの。ボクがいると、みんなの迷惑なの!」
「誰が、そんな事言ったの!」
「ママ…。」
「麻里、落ち着きなさい。ユウナが、怖がっているわよ。」
「ママ、ごめんなさい。ぶたないで、ユウナ頑張っていい子にするから!」
「ユウナ…。」
「麻里、泣かないの!ユウナ、ママが怖いの?」
「ううん、ママが遠くて苦しんでいるの。ボクの、せいなの。ごめんなさい、ママ!」
「麻里、ユウナを抱っこしてあげなさい。」
「でも…。」
「あんた、母親だろ?ユウナのたった一人の、ママなんだよ。」
「ユウナ、おいで。」
「ママ~。」
「ユウナ、愛している。私の、ユウナ。」
「ママ、ボクのママ!」
「さっ、じいじ。私にも、御神酒ちょうだい。」
「ばあさんや、よかったのう。」
「あんたに、ばあさんって言われる筋合いは無いわ!」
「何で、うちの女共はこう柄が悪いんじゃ。」
「あんた!」
「父さん!」
「ヴー、ヴッ!」
「ミューちゃん、お前もか。」




