聖女の鍛錬。
お風呂から出て、ユウナとご飯の支度をする。
夫は、慎吾と将棋をする様だ。
ミミ様が慎吾の応援についたらしく、苦戦している。
「待った!そこは、勘弁してくれ。」
ユウナは将棋や囲碁など、頭を使うゲームに興味がない。
反射神経でするゲームが、得意だ。
あんなに、頭がいいのに?
「ご飯、出来たわよ。ユウナ、ミミ様の分も運んでね。」
「おっ、ユウナ。そりゃ、何じゃ?」
「馬刺しと、ローストビーフだよ。美味しそうでしょ、泡盛もあるよ。」
「麻里、料理が上手くなったのう。昔は、良く泥団子を食べさせられそうになったがの。」
「ミミ様、悪いご冗談を。オーホッホッ!」
「ママとミミって、昔から知り合いなの?」
「里に出る前は、勉強を教えたり面倒をみたりしておったからの。」
「へぇ、だからママは頭がいいんだ。」
「そうよ、ミミ様はすごく厳しかったのよ。」
「うん、知ってる。容赦ないし、スパルタだよね。」
「ミミ様、オレには優しくしてくれよ。」
「何じゃ、慎吾。ユウナを嫁に、娶るのだろ?覚悟を決めて、頑張るのじゃ!」
「あっ、オレ死んだ。」
「頑張ってよ、お兄ちゃん!」
「任せなさい、ユウナ。愛があれば、何でも出来る!」
「じゃあ食べ終わったら、軽く七角山までランニングに行く?」
「軽くって、あそこまでどのくらいあると思ってんだ。しかも、真冬の夜だぞ。」
「ボク、いつもミミにやらされていたよ。」
「ミミ様、なんて事を!」
「落ち着け、文太。ユウナに足りないのは、体力じゃろ。後は、一級品なんじゃ。」
「ユウナ、つらくなかったか?パパ、もっとカセット買ってやるからな。」
「やったー、マッピーも買って!」
「全く、あの爆弾野郎が娘には甘々だの。」
「お兄ちゃん、食べたらファミスタやろう。ボク、ライオンズね。」
「汚えな、日本シリーズ何連覇してんだよ。」
「いいじゃん、ハンデちょうだいよ。」
「文太、たまには稽古つけたろか?」
「ミミ様に敵う訳無いのに、魔法無しならいいですよ。」
「馬鹿か、お主は。娘は、わしの魔法を乗り越えたぞ。」
「いやいや、適性があるでしょ。近接戦闘なら、無双ですよ。」
「ふうむ、確かにな。」
「ミミ様、私にも魔法教えてくださいな。」
「お主は、聖女じゃろ。圭子に師事した方が、早くないか。」
「聖魔術以外も、覚えれたらなぁって。弓以外、戦闘術知らないし。結界も、もっと手軽な障壁とか使いたいです。」
「さすがに、若い者は貪欲じゃの。麻里、聖魔術以外で得意な魔術はあるか?」
「取り立てては、無いですね。闇と雷は、全く使えないですよ。」
「まぁ、聖女が闇使える訳は無いがな。聖魔術が特化しているから、光魔術も無駄だろう。さすれば、融合魔術だな。」
「融合?それって、何ですか?」
「簡単なのだと、火と水でお湯を作ったり。風と水で、津波にしたり。土と水で、氷を出したり。単純に、水と風と土で台風やハリケーンを巻き起こすとかな。後は火と土で火山噴火や、天変地異も魔力次第では起こせるぞ。」
「ミミ様、そういうのでは無くて。もっと、手近な感じで。」
「勿体ないのう、お主の魔力なら日本列島くらいあっという間に沈められるのに。しょうがない、土魔術に火魔術を注入しろ。それを壁に例えて、周りに展開するのじゃ。外で、やってみるか?」
「なかなかの吹雪の中、みんなで庭に立つ。」
「ユウナ、手本を見せ!」
「アースウォール!」
ユウナの周りが、土の壁で覆われた。
「文太、武器を使ってもあの壁を壊せ。」
「千天裂鋼刃!」
ガキッ!
全く、歯が立たない。
「ミミ様、大砲でもムリですよ。」
「ユウナ、もういいぞ!ちゃんと、鍛錬続けておるな。いい子じゃ。」
「てへぺろ!」
「麻里も、やってみなさい。」
「アースウォール!」
「文太!」
「あいよ、千天裂鋼刃!」
ザクッ、ガドゥーン!
「あっ、あーあ。」
「まっ、展開できるだけすごいわ。後は、鍛錬次第じゃな。娘からも、学べるぞ。わしは、日中は寝てるでな。」
「ユウナ、色々教えてね。」
「ママなら、大丈夫だよ。中、入ろう。お兄ちゃんが、凍っているよ。」
固まった慎吾を文太が、小脇に抱える。
薪ストーブの周りで、みんな震えている。
「ミミ、何してんの?」
「古事記を呼んでいる、所じゃ。」
「面白いの、ベアーの冒険の方が面白いよ。」
「これは、絵本では無いぞ。昔の倭の実情や捏造が、浮かび上がってくる。」
「難しいんだね、ボク眠い。」
「ブルッ、よしお兄ちゃんと一緒に寝ような。」
「な、じゃないわよ!百年早いわ、バカ弟!お前は、廊下で寝んかい!」
「まぁ、麻里。慎吾、とりあえずはみんなでリビングに布団敷いて寝ようか。俺と一緒で、いいよな。」
「うん、わかった。布団敷くの手伝うよ。」
「こっちが、俺のな。兄さんはデカくて危ないから、こっちな。」
「ユウナは、ママと一緒にあっち側よ。」
「クピー、フガッ。」
「もう、寝てる。ちょっと着替えさして来るから、布団お願いね。」
「姉ちゃん、ユウナが大好きなんだなぁ。母ちゃんって、みんなあんなもんなのかなぁ。」
「そうだな、父親と違って母親は子供が分身みたいなもんだからな。特に娘となると、一入だろう。」
「ユウナを大事に、しなくちゃ!」
いい男だ、裏表が無くユウナを好きでいてくれる。
恵まれているな、ユウナ。




