親心。
冬休みの間、慎吾を少しだけ預かる事になったのでこのまま帰宅する。
「ただいま~!」
「ホゥ、ホゥ!」
「あっ、ミミだ!お留守番、しとったん?」
「先、来た所じゃ!山がしばらく吹雪くらしいから、しばらく世話になるぞ。」
「やったぁ!ママ、ミミも泊まるって。」
「ミミ様、娘が大変お世話になりました。ゆっくり、寛いでくださいね。」
「放っておいてくれて、大丈夫じゃ。おっ、慎吾大きくなったなぁ。」
「ミミ様、オレなユウナと婚約したんだ。」
ユウナが紅くなりながら、ほっぺたを抑え込む。
「ほう、大変じゃろがユウナの事頼んだぞ。」
「おぅ、ミミ様も色々教えてくれな!」
「ユウナ、晩ごはん作るから手伝いなさい。」
「ほーい。」
「慎吾、一緒に風呂入るか。」
「うん、わかった。着替え、取ってくる!」
「ユウナ、野菜洗ったら皮むきしてね。」
「ねぇ、ママ今日は何。」
「クリームシチューと、から揚げよ。」
「やったぁ、ボクねママのクリームシチューだいちゅき!」
「ふふふ、ユウナお手々冷たくない?」
「大丈夫だよ、耐性法術使ってるから。ほら、皮むきも。ティッ!」
「あら、便利ね。このお肉も、角切りに出来る?」
「任して、ティッ!ボクは、料理の鉄人なのだ。」
「じゃあ、後はユウナ頑張ってね。」
「あ~ん、ユドゥジデ。ママ~!」
「じゃあ教えてあげるから、ちゃんとみてなさいね。」
「アイ!」
「ユウナは、いつから慎吾の事が好きなの?」
「んー、ここ最近かなぁ。たぶん、由香お姉ちゃんと会ってから。」
「それまでは、何とも思ってなかったの?」
「ううん、ちょっと憧れてた。格好いいし、優しかったから。初めて会った時から、ドキドキはしてた。」
「初めてって、慎吾はまだ園児だったよね。あんた、中学生だったでしょ?」
「ボクも、幼児だったから…。」
確かに、この子に年齢は当てはまらない。
性別さえも、少し怪しい。
「ママは、慎吾なら大賛成よ。あの子は、普通の子だからね。」
「巻き込んじゃって、迷惑かなぁ?」
「今さらなんじゃない、から揚げの仕込み冷蔵庫に入れてきて。」
「から揚げって、簡単だね。後、揚げるだけでしょ。」
「嘗めるなよ、小僧。揚げが、一番大変なのよ。」
「シチューは、肉入れたら終わり?」
「たまに、アク取りしなさいね。最後にコーヒーフレッシュを入れて、パセリを添えるのよ。」
「慎吾、だいぶ大きくなったなぁ。」
「兄さんには、かなわないよ。やっぱり、種族が違うから?」
「それもあるが、いい事ばかりでは無いぞ。服や靴など、既製品の物は合わんからなぁ。後、どこに行っても窮屈だ。」
「ユウナは、小っこいねぇ。あれはあれで、大変そうだね。」
「お前が、支えてやれ。ユウナに少しでも、普通の幸せを分けてやってくれ。」
「普通か、何を持って普通なんだろう?オレは、ただユウナを信じるよ。」
いつの間にやら、大人の様な事を言う。
周りの環境が、いい具合に成長させているんだろうな。
進藤さん達の見透かした様な事になったが、俺も麻里との出会いが全てを変えた。
義弟が義理の息子になっても、この少年にユウナの大事な物を守って欲しい。
「慎吾、無理するなよ。」
「あぁ、兄さんを見習うよ。」
大丈夫だな。
「わーい、ママ早く!」
露天風呂に、ユウナと姉ちゃんが突入して来た。
「おいっ、まだ入ってんねんで。」
「いいじゃない、ちょっと前まで三人でよく入ってたじゃない。何、恥ずかしいの?」
「そんなんじゃねぇよ、ユウナきれいだなぁ。」
「ちょっと、このナイスバディの姉は?あんた、ロリコンなの?」
「うるさいなぁ、パイオツカイデー。ユウナ、温かいよ。湯浴みして、こっちにおいで。」
「ちょっと、ユウナ。モジモジしないで、こっちに来なさい。」
賑やかで、楽しいもんだ。
ユウナが、麻里の家に入り浸っていたのもわかるなぁ。
俺は、父親として何もしてやれなかったからな。
さて、頭洗うか?
「パパ、シャンプー使うの?」
「あぁ、頭洗うからな。」
「要らなくない、無駄遣いだよね。」
「ユウナ、言ってはダメよ。」
「麻里~、ユウナが酷い…!」
「知らない、お兄ちゃん抱っこ!」
「やっぱり恋人ができると、お父さんはどうでもいいのかなぁ?」
かわいそうに、小さくなっちゃって。
頑張って、あなた!
うちのお父さんだって、しばらく落ち込んでたんだから。




