第253話 伐採と来訪者
レディウムスさんたちが山から離れて1週間。獣人たちのログハウスは14軒まで出来上がった。ようやっと半分だ。
ちなみにエイデンがトッてきてくれた、大量のどっかの石壁はキッチリ再利用して、土地をコの字型に囲う石壁に変わっている。立ち枯れの拠点側はぱっくり開いた状態。こっちは結界が張ってあるので、魔物や悪い人は、簡単には入り込めないだろう。そもそも、この周辺には居そうもないけど。
しかし、この石の量を考えると、どっかの村だか街だかが丸裸になっちゃってるんだろうなぁ、と思うと若干申し訳ない気持ちにはなったんだけれど、エイデン曰く。
「大丈夫だ。城壁ぶっ壊してきただけだから」
……どこの、とは聞くまい。
木材はケニーが頑張ってくれているけれど、それ以上にエイデンが活躍している。私もそれなりに『伐採』してるけど、エイデンの量には敵わない。これもどこからトッてきてるんだろうなぁ(遠い目)。
そして今日も今日とて、『伐採』である。
最近、山裾の方を『伐採』していたので、我が家からトンネルに向かう道沿いの『伐採』である。
「それ『伐採』、『伐採』っと」
ガランガランとカウベルを鳴らしながら、草刈り機で道を作りながら山の中を歩いていく。薄暗かった山の中に、徐々に日差しが入り込む。
「よし、ここのも『伐採』、『伐採』」
基本的にこの山、食べられる実が生る木がない。たんに、私が見つけられないようなところにあるのかもしれないが、今のところ見つけていないのが現実だ。
「それ、『伐採』、『伐採』」
「五月様~!」
「うん?」
ガズゥの声が聞こえたので、周囲を見回すと、凄い勢いで山の斜面を駆けあがってくるのが見える。
「どうした~?」
「来た! 来たんだ!」
「もしかして」
「村の人たち!」
「おおっ!」
やっと来たか、とホッとしたのは言うまでもない。
急いで草刈り機を『収納』すると、山の斜面を下りていく。当然、ガズゥの方が足が速いから、あっという間に見えなくなる。
「早すぎっしょ」
ひーひー言いながらログハウスまで駆け戻って、スーパーカブに乗って追いかけた。
スーパーカブでもガズゥに追いつくことは無理で、到着してみれば、見たことのない獣人たちが開け放たれた門の前で、しゃがみこんでいた。
「あれ? これだけ?」
聞いていたのは29家族。
でも、今、目の前にいるのは比較的若い獣人の男女が10人くらい。
全員が、肩で息をしている。手にしている荷物もほとんどない。この状態で、村から来たの? 皆、凄く窶れてるみたいなんだけど。
「五月様」
「ケニー、どういうこと?」
ラルルと一緒に、獣人たちに水を配っていたケニーが私に気付いて声をかけてきた。彼も何やら青ざめている。
「村が……また、魔物と盗賊どもに襲われてっ」
なんですって。
「ネドリ様が、なんとか隙を作って、ドンドン様と共に逃がしてくださったようなんです」
ドンドンは、ガズゥたちを迎えに来た人だ。
彼らは最悪、単独でも戦えて、逃げ切れると思われる若者だけ逃がしたようだ。
「ドンドンって、確か、この前来た人よね? 彼は?」
「この場所の近くまでは来たんですが、場所だけ教えて、すぐに村に戻って行きました」
一息ついた獣人の一人が、座ったまま答える。
「村は……村は大丈夫なの?」
「は、はい。あの、結界のおかげで……でも、いつまでも村の中にいるわけにもっ」
マジか。それって、籠城戦ってこと?
植えた木は、まだ実など生らないくらい小さいはず。食料になんかならない。
「ヤバい、ヤバいじゃん」
どうしたら、いいんだろう!





