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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
新たな住人たちと初秋を楽しむ

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272/1015

第253話 伐採と来訪者

 レディウムスさんたちが山から離れて1週間。獣人たちのログハウスは14軒まで出来上がった。ようやっと半分だ。

 ちなみにエイデンがトッてきてくれた、大量のどっかの石壁はキッチリ再利用して、土地をコの字型に囲う石壁に変わっている。立ち枯れの拠点側はぱっくり開いた状態。こっちは結界が張ってあるので、魔物や悪い人は、簡単には入り込めないだろう。そもそも、この周辺には居そうもないけど。

 しかし、この石の量を考えると、どっかの村だか街だかが丸裸になっちゃってるんだろうなぁ、と思うと若干申し訳ない気持ちにはなったんだけれど、エイデン曰く。


「大丈夫だ。城壁ぶっ壊してきただけだから」


 ……どこの、とは聞くまい。


 木材はケニーが頑張ってくれているけれど、それ以上にエイデンが活躍している。私もそれなりに『伐採』してるけど、エイデンの量には敵わない。これもどこからトッてきてるんだろうなぁ(遠い目)。


 そして今日も今日とて、『伐採』である。

 最近、山裾の方を『伐採』していたので、我が家からトンネルに向かう道沿いの『伐採』である。


「それ『伐採』、『伐採』っと」


 ガランガランとカウベルを鳴らしながら、草刈り機で道を作りながら山の中を歩いていく。薄暗かった山の中に、徐々に日差しが入り込む。


「よし、ここのも『伐採』、『伐採』」


 基本的にこの山、食べられる実が生る木がない。たんに、私が見つけられないようなところにあるのかもしれないが、今のところ見つけていないのが現実だ。


「それ、『伐採』、『伐採』」

「五月様~!」

「うん?」


 ガズゥの声が聞こえたので、周囲を見回すと、凄い勢いで山の斜面を駆けあがってくるのが見える。


「どうした~?」

「来た! 来たんだ!」

「もしかして」

「村の人たち!」

「おおっ!」


 やっと来たか、とホッとしたのは言うまでもない。

 急いで草刈り機を『収納』すると、山の斜面を下りていく。当然、ガズゥの方が足が速いから、あっという間に見えなくなる。


「早すぎっしょ」


 ひーひー言いながらログハウスまで駆け戻って、スーパーカブに乗って追いかけた。




 スーパーカブでもガズゥに追いつくことは無理で、到着してみれば、見たことのない獣人たちが開け放たれた門の前で、しゃがみこんでいた。


「あれ? これだけ?」


 聞いていたのは29家族。

 でも、今、目の前にいるのは比較的若い獣人の男女が10人くらい。

 全員が、肩で息をしている。手にしている荷物もほとんどない。この状態で、村から来たの? 皆、凄く窶れてるみたいなんだけど。


「五月様」

「ケニー、どういうこと?」


 ラルルと一緒に、獣人たちに水を配っていたケニーが私に気付いて声をかけてきた。彼も何やら青ざめている。


「村が……また、魔物と盗賊どもに襲われてっ」


 なんですって。


「ネドリ様が、なんとか隙を作って、ドンドン様と共に逃がしてくださったようなんです」


 ドンドンは、ガズゥたちを迎えに来た人だ。

 彼らは最悪、単独でも戦えて、逃げ切れると思われる若者だけ逃がしたようだ。


「ドンドンって、確か、この前来た人よね? 彼は?」

「この場所の近くまでは来たんですが、場所だけ教えて、すぐに村に戻って行きました」


 一息ついた獣人の一人が、座ったまま答える。


「村は……村は大丈夫なの?」

「は、はい。あの、結界のおかげで……でも、いつまでも村の中にいるわけにもっ」


 マジか。それって、籠城戦ってこと?

 植えた木は、まだ実など生らないくらい小さいはず。食料になんかならない。

 

「ヤバい、ヤバいじゃん」


 どうしたら、いいんだろう!

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