第252話 爆買いと、ユグドラシルの葉
買い物はなかなかファンタジーな感じで楽しかった。
普通に武器とか防具なんか手にすることはないし、魔道具にも感動(ちょっとお値段はお高めだけど)。個人的にすぐ使うような物はなかったので、買うまでにはいたらなかったけど。
むしろ、食料品や衣料品などの日用品を、あるだけ買わせてもらった。
これから移住してくる獣人たちが、どういう状況でやってくるかわからないのだ。特に食料品なんて、そもそもそんなに余裕もってなどいなかったし。
そ・れ・に! 明らかにあちらで買うよりも安いのだ。
ついでに言えば、エイデンたちのおかげで、こちらのお金が結構貯まっているし、使わない選択肢はない。先日の『収納』のバージョンアップも、購入の後押しをしている。どんだけ入れてもいっぱいにはならないし、時間経過もないから、食物も悪くならないのだもの!
購入した物の山を見て、思わずにやけてしまう。レディウムスさんたちの荷物の三分の一くらいが、私の背後に山積みだ。
いやぁ、気持ちいいねぇ、ドンッとお金を使うのは(あっちじゃ、怖すぎて無理)。
「ありがとうございます。また、寄らせていただきます」
満面の笑みのレディウムスさん。最初に会った時の、胡散臭い笑顔はどこへ行った。
「はい。お願いします。あと、職人さんのことも」
「ええ。連絡しておきます」
ドッグラン脇に水浴びできる場所を作るのに、職人の手配をお願いしたのだ。
一応、穴掘りなどは『ヒロゲルクン』でも可能だけど、穴の中を学校のプールみたいに石などで補強するのは難しいかなと。一人でバカでかい穴に入ってやるのって、嫌すぎる。
とりあえず、素材となりそうな石は、エイデンがどっかからトッてきている石が余れば、それを使えばいいか、なんて思っている(悪い顔)。
しかし、レディウムスさんたちは馬車での移動。ここに職人さんたちが来てくれるまで、かなり時間はかかるだろう。ぼちぼち準備していけばいいかな、と思っている。
「ああ、そうだ」
荷物を運び込み終えて、馬車に乗り込んだレディウムスさんが、思い出したように声をかけてきた。
「サツキ様、もしよろしければなんですが」
「はい?」
「次に伺う時までで構わないのですが、ユグドラシルの葉を集めておいていただけませんでしょうか?」
「うん? 落ちているヤツでいいんですか?」
「いえ、できれば枝についているものを採って頂けるとありがたいんですが」
「え、枝ですか」
思わずユグドラシルへと目を向ける。
いや、無理っしょ。
私の手が届くような高さに枝なんかないし。何、高枝切り鋏的な何かで切ればいい? いや、それも無理なくらい高いんですけど。
「ユグドラシルに頼めば、枝ごと落としてくれますから」
……は?
「できれば、サツキ様のマジックボックスに保存して頂ければ、時間経過もしないでしょう?」
え。何、それ。
私の『収納』の力がバレてる!?
なんで!?
あ、無意識に色々出してたからか!?
「ユグドラシル……いや『世界樹の葉』は、高級ポーションやエリクサーの素材となるものです。ぜひ、買取をさせていただければと。ご検討ください」
ニッコリ笑ったレディウムスさんが怖すぎるんですけど!
固まっている私をよそに、レディウムスさんたちを乗せた馬車は、土埃を挙げて去っていくのであった。





