第917話 久しぶりに買い出しに行こう
オババさんの苦い、苦ぁ~いせんじ薬を飲んで一日ゆっくり休んだおかげか、翌日には熱も下がり、スッキリ。
さすがオババさん。
朝からやる気に満ちている私は、さっさと家事を終わらせると、あちらに向かうことにした。
稲荷さんにも相談したいこともあるし。
「本当に大丈夫?」
斜め掛けのバッグをかけて玄関に向かうと、マリンが心配そうに声をかけてきた。
今日はノワールは、エイデンと一緒に、また出かけてしまっている。
「大丈夫、大丈夫。そうだ。お土産、何がいい?」
「お土産? ……シャーモン!」
「しゃーもん?」
「うん、あのオレンジ色の!」
「……ああ、サーモン! オレンジって、スモークサーモンのことか」
「それそれ!」
「あれって、ラサロの燻製と似てない? 『収納』にまだストックがあった気がするけど」
ラサロのオレンジ色の身を見て、すぐにスモークサーモンを連想した私。
当然、村でラサロの燻製を作ってもらった。なかなか美味しかったし、あちらのスモークサーモンに近い味にはなってたはず。
「チッチッチッ、五月、やっぱり味わいが違うのよ」
マリンが指を振りながら重々しく言う姿に、思わず笑いそうになる。
「わかった、わかった。じゃあ、スモークサーモン買ってくるね」
「やった!」
嬉しそうに小躍りしているマリンに、いってきますと言って、家を出た。
ホームセンターの広い駐車場には、車が半分くらい埋まっている。スマホでカレンダーを見ると、一応、平日のようだ。
今日は大量買いになると思って軽トラックでやってきた私。
「よし、行きますか」
久しぶりのこちらでの買い物に気合が入る。
車から降りてみると、天気はいいけれど風が冷たい。念のためにと思って持ってきていた、助手席に置いておいた薄手のコートを手にする。
――さて、まず買っておきたいのは。
向かった先はガーデンライトのある売場だ。
ユグドラシルのばあ様に向かう間に作った休憩スペースごとに設置したいと思ったのだ。余るようであれば、さくらんぼの木の並木に沿って設置してもいいだろう。
ギャジー翁に作ってもらってもいいのだけれど、量が量だけに、こちらで買った方が早いし、安い。
それにしても、ソーラーのガーデンライトの種類が増えていて、どれにしようかと悩ましい。
地面に埋め込むような物もあれば、細い筒状の物、小型の街灯のような物と、目移りしてしまう。値段は細い筒状の物が一番安い。何が違いがあるのだろうか。
「え、何これ」
思わず声が出たのは細いエノキのようなキノコのが集まったタイプのガーデンライト。こんなのもあるのか、と思わず感心してしまう。
正直、安いのでいいといえばいいんだけれど、可愛いデザインの物があるのを見ると、心が惹かれてしまうのは仕方がないと思う。
「いらっしゃいませ」
ガーデンライトを見比べていたところに、声をかけられた。
「あ、こんにちは」
声をかけてきたのは、ガーデニング用品のコーナーの担当のおじさんだ。
前に大きな街灯タイプのガーデンライトを勧められて、まんまと買ってしまったのだ。





