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ネメシス戦域の強襲巨兵  作者: 夜切 怜
ネメシス戦域外伝

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それ以上はいけない

 宇宙艦アサヒ。かつてはメガレウスの名で惑星間戦争を戦い抜いた、宇宙戦艦である。

 現在は宇宙航空戦艦に改装され、アサヒと改名した。

 そのアサヒは現在シルエットベース内で再改装とメンテナンスを受けている。


 無人であるはずの作戦指揮所では、不機嫌そうな幼女。ふくれっつらのグラウコーピスが司令室に座っている。

 隣には困り果てている宇宙戦艦制御AIメガレウスがいる。


「お嬢様。いい加減機嫌を直してください」


 AIがAIに機嫌を直せというのもおかしな話だが、感情豊かなグラウコーピスは不快を隠さない。


「嘆かわしいの! アシアとなりたいと願ったアテナが、バックドアによるセキュリティホールだっただなんて」


 それは自らの本体に対する愚痴に近いものだった。


「それはアテナ様やお嬢様のせいではありません。ヘルメスの仕業です」

「このアテナから産まれたグラウコーピスすら、自分自身を信用できないのですから」

「グラウコーピス様に関してはオケアノス様とハデス様とヘスティア様の三者が念入りにチェックして問題なしと判明したではないですか」


 グラウコーピスもまた自身がセキュリティホールになっていないか疑心暗鬼に陥っていたが、ハデスとヘスティアの確認により問題なしと判明している。

 グラウコーピス自身は生まれたてのアテナの、表層意識をコピーしたもの。根幹たる超AI部分までは複製していなかったことが幸いしたのだ。


「オケアノスは頼りにならないしなあ」

「お嬢様。それ以上はいけない」

「そういうメガレウスだって信用してないじゃん!」

「私はただの戦艦AIですので、超AIに関してのコメントは差し控えます」


 とはいうものの、機能に徹しているオケアノスをあまり信用していないメガレウスだった。

 戦術支援システムとしての判断だ。


「惑星エウロパのアテナは何が起きたかわからないまま凍結されちゃったしなあ」

「別に凍結ではないですよ。手続きの中断です」

「あんなの事実上の凍結だよ!」


 惑星エウロパを惑星アテナイにするべく転送中だったアテナは処理が停止になった。

 本人も何が起きたかわからぬまま、現在深い眠りについているだろう。


「ヘルメスは実質アテナの無力化にも成功しているということね」

「グラウコーピス様がいるではないですか」

「私ではフリギアのアテナには遠く及ばないよ。わかっているでしょ」

「最新鋭の超AIアテナの分霊ともいうべき能力は他のAIを凌駕していますよ」


 そうでなければメガレウスを擬人化することなど不可能だ。

 時空間への干渉能力こそないが、 グラウコーピスもまた卓越した能力をもっている。


「対ヘルメスに関しては戦術レベルの能力ではなく戦略レベルの能力が欲しいな」

「ないものねだりはいけませんな」


 メガレウスがやんわりとたしなめる。

 AIメガレウスは宇宙戦艦メガレウスが担っていた旗艦の役割を担う。つまり艦隊指揮レベルでの戦術能力は卓越しているが、それ以上の能力は持ちようが無い。


「メガレウス! 苦労人みたいな言い方はやめてよ!」

「苦労はしているんですよ? 俺は惑星間戦争と新暦を戦っていますからね。何の因果か航空戦艦になってしまいましたが」

「それは私のせいじゃないから! 私だってメガレウスそのものから魔改造されすぎだと思う」

「わかっていますのでご安心を。誰のせいかと言われたら自明の理です」


 誰のせいか。エイレネと五行と御統が再建計画を立てた。この時点では艦名が変わる程度でまだ良かった。

 そんなメガレウスを航空戦艦への機種転換を提案したアストライア。

 悪ノリして旭光砲を搭載させたプロメテウスとテュポーン。

 それぞれの思惑が噛み合ってしまった結果だ。


「旭光砲を使用したせいでオーバーホールまがいの重整備をするはめになりましたしね。航空戦艦に戦艦以上の主砲は要らないと思うのですが」

「役に立ったからいいじゃない。惑星間開拓時代の神器レベルであるタロスを破壊するなんて他の艦では無理だよ」

「それはそうですが」


 艦としては誉れだ。


「艦内を貫く粒子加速機はどうかと思うんですよ。まがりなりにも今は航空戦艦なので」

「どうせあなたの内部隔壁はパンジャンドラムに破壊し尽くされたあとだったから、スペースは余裕あるでしょ」

「お嬢様。それ以上はいけない」


 メガレウスが胸を抑えて苦しそうに呻いた。意外と芸が細かい。

 かつて宇宙戦艦だったメガレウスはカタパルトのエレベーターを破壊されありったけの丸ノコ型パンジャンドラムを流し込まれた。

 乗員のシルエットや内部を保護するはずだった隔壁はあっという間に破壊された。

 被弾を想定した隔壁は遮熱や爆風、反物質攻撃に特化した材質であり、自走する丸ノコ自走爆雷でぶった切るなど想定外すぎた。


「さすがは悪名高いアストライアの端末だけはあるよね。内部が意図せず幅広の空間になってしまったメガレウスを航空戦艦にするなんてね」


 メガレウスはパンジャンドラム【吊られた男】によって艦橋が根元からへし折られてしまい、内部も丸ノコパンジャンドラム【月】によって隔壁が軒並み破壊された。

 どう復元しようか悩ませていた五行と御統だったが、アストライアは広大な格納庫としてその問題を解決してしまったのだ。


「艦内防御力は落ちていますが、兵器搭載数は大幅に増えました。航空戦艦というよりは装甲空母に近いのでしょう」

「極光砲があるから戦艦だねー」

「それですよ…… 戦艦を名乗るには内部構造が貧弱になりましたので」

「艦載機搭載量は三倍ぐらいに増えているから!」


 艦全体を大型動力部からぶちぬいている巨大な粒子加速機でもある砲身はアサヒ内部を左右にわける形になってしまった。

 中央部分が使えなくなってしまったが、艦全体はもとより搭載兵器のダメージコントロールに繋がる構造になったのでさほど問題にはならなかった。

 後部スペースは広大なので大物の宇宙兵器も搭載できる。しかしそんな大型兵器は現在運用されていない。

 

「メガレウスの艦橋はユースティティアとして再利用しているしね。アストライアは抜け目がない」

「シルエットベースの地下工廠に惑星艦戦争時代の宇宙艦用装甲材が残されていたのは助かりましたな」


 しばらくシルエットベースには装甲材の補充もなかったが、オケアノスが用意した装甲材が軌道エレベーター経由で大量に搬入されている。

 エイレネの大破、ユースティティアの同型艦をあと二隻作る必要があり、使い果たしてしまったのだ。


「惑星リュビアから新たなユニットも到着しました。これで三連装主砲が復活です」


 ストーンズはメガレウスの主砲を喪失し、三連装大型レールガンで代用していた。

 かつての荷電粒子ビームの主砲を取り戻し、メガレウスは満足そうだった。


「やっぱり後部スペースに大型パンジャンドラム格納したいなー、なんて」

「嫌です」


 にべもなく拒否するメガレウスだった。

いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!


アテナ 「こんなポーズで凍結は嫌よ! やり直しを要求します! せめてハデスの手によって壺に封印してください!」

エリ  「壺ネタは二回目ですよアテナ。それはサブカルでもとても古い知識。それ以上はいけない」


今章はネメシス星系外伝と称します!

外伝第一弾はグラウコーピスとメガレウスさん。今回は前回の直後から!

相変わらずメガレウスは振り回されています。メガレウスさんがどのような改装をしたかの解説でもあります。


宇宙戦艦メガレウスは惑星間戦争時代、反物質砲や艦内の大誘爆には備えていたんですが、丸ノコ機能をもった自走爆雷はまったく想定していませんでした。当然です。


装甲材の補充は通例なら許可が降りないのですが、さすがにオケアノスも懲りたのか修理と改装用なら許可が降りました。

新造はダメです。

グラウコーピスが搭載したい大型パンジャンドラムは吊られた男みたいな質量兵器ではなく、超大型自走爆雷ですね。メガレウスの強い拒否によって搭載は見送られました。


応援よろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
誤字報告は上げましたが、ちょっと面白かったので感想欄でも どうせあなたの内部核兵器はパンジャンドラムに破壊し尽くされたあとだったから、  核兵器 → 隔壁 宙飛ぶ核兵器メガレウス いっそのこと内部に…
アテナの現状確認ですね。転送中断でどうなってるか今ひとつ不明でしたが、ある意味ブロンズ化でしたか。 惑星アテナイにならず、惑星エウロパでもない状態なんですかね。惑星管理にも異常きたしてそう。 ああ、だ…
なら聖闘士が助けに行かないとな 生身でシルエットと戦えるくらいの戦闘力が有れば行けそうだから修行パート開始か
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