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「なんとなく惹かれる」を信じていい  作者: アレックス・フクリー
6)選び方に、正解はない。責任があるだけ

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6-2)外見で選んだ結果、うまくいかないこともある

「かっこよかったから」

「笑顔が好きだったから」

「スタイルがドンピシャだったから」


 恋の始まりには、そんな"外見的な惹かれ"があるのは当然です。むしろ、見た目にドキッとすることは、恋愛の入り口としてとても健全な反応だと思います。人はまず、目から入る情報に一番強く反応する──それは心理学的にも生物学的にもちゃんと説明のつく自然なことです。瞬時に相手の印象を判断し、魅力を感じるのは私たちの脳の仕組みとして備わっている能力なのです。

「いいな」と思う外見は、個人によって千差万別です。クールな雰囲気に惹かれる人もいれば、柔らかい表情に心を奪われる人もいる。高身長が好みの人もいれば、小柄な人に魅力を感じる人もいる。この「好み」というのは、幼少期からの経験や、過去の恋愛体験、文化的な背景など、様々な要素から形成される複雑な感覚です。だからこそ、「自分の好み」を大切にすることは、恋愛において決して間違いではありません。



【外見の先にある違和感】


 でも、問題はそのあと。惹かれて、付き合って、関係を深めていくうちに、「なんか違うかも……」というズレが生まれることがあります。それは、「思ってた人と違った」というギャップかもしれないし、会話のテンポが合わないとか、気を遣いすぎて疲れてしまうとか、笑いのツボがまったく違うとか。そのような"感覚のすれ違い"は、最初の「見た目の好み」とはまったく別の次元で、あとからじわじわ効いてきます。

 デートのたびに「何を着ていこう」と悩むのは楽しいけれど、いざ一緒に暮らし始めると、朝の支度の遅さにイライラが募ったり。おしゃれな店でのディナーは素敵だったのに、自宅では食事の好みが合わなくて毎日の献立が戦争になったり。「音楽の趣味が合う!」と思っていたのに、実は表面的な好みだけで、音楽に対する本質的な価値観が全然違ったり。

 実際、「顔がタイプすぎて夢中だったけど、一緒に暮らし始めたら価値観が真逆でしんどくなった」とか、「デート中は楽しかったけど、なんでも自分優先で人の話を聞かないことに気づいて冷めた」とか、そういう話をよく聞きます。最初は目がくらむほど魅力的だったのに、それ以外の部分で引っかかりを感じ始めたとき、人は「これは本当に私の求めていた関係だったんだろうか?」と立ち止まるのです。



【外見で選ぶことの意味を考える】


 ここで大事なのは、「外見で選ぶのは間違い」だと言いたいわけではない、ということ。見た目に惹かれることは、恋愛の中でもすごく大切な感覚ですし、むしろ「見た目が好みじゃないけど我慢して付き合ってる」みたいな関係の方が、長期的にはしんどくなったりもします。「顔も体型も全然タイプじゃないけど、性格が良いから」という理由だけで関係を続けるのは、やがて大きなストレスになってしまうことが多いのです。

 結婚相談所などで「条件だけで選ぶ」のと同じように、「外見だけで選ぶ」のも極端な選び方と言えるでしょう。理想は、「好みの外見」と「相性の良さ」、その両方がバランス良く存在する関係です。ときめきも、安心感も、どちらも大切な要素なのです。

 でも、外見だけで突っ走ってしまうと、そこにある"違和感"を見落としやすい。「こんなにタイプなんだから、多少合わないところがあっても大丈夫」とか、「私が合わせればいいし」と自分をすり減らしてしまうこともある。相手の内面や価値観、ライフスタイルといった、もっと深い部分をちゃんと見る前に、外見の魔法にかかってしまう──それが、恋の落とし穴のひとつです。



【「完璧な外見」と「幸せ」は必ずしも比例しない】


 たとえば、"美男美女カップル"がみんな幸せかといえば、決してそうとは限らない。外から見て「完璧」と思えるカップルほど、実は内側ではすれ違いや孤独を抱えていることもあります。見た目が良すぎることで、まわりにうらやましがられるけど、「実はまったく気が合わなくて、家では会話がない」なんてことも、決して珍しくありません。

「見た目が良すぎる人」ほど、実は内面を見てもらえない寂しさを感じていることもあります。「どうせ見た目だけで選ばれている」という思い込みや、「私の本当の部分はこの人に届いているのだろうか」という不安を抱えているケースも少なくありません。見た目だけが評価される関係は、双方にとって満たされないものになる可能性が高いのです。

 また、外見を重視するあまり、「この人との関係は周囲からどう見られるか」を気にしすぎてしまうこともあります。SNS映えするカップル、親や友達に自慢できるパートナー、世間的に「勝ち組」と思われる組み合わせ—こうした外からの評価基準に振り回されると、肝心の「自分自身が幸せかどうか」という感覚が鈍ってしまうことがあります。



【時間とともに変わる「魅力」の概念】


 それに、外見って変わっていきます。年齢とともに変化するし、好み自体も変わる。むしろ、一緒に過ごす中で"好きな顔"に見えてくることもあるし、逆に、どんなに整っていても、"冷たく見える顔"になることもある。だから結局は、外見って「関係性における一要素」でしかありません。

 30代、40代と年齢を重ねていくと、若い頃に「絶対条件!」と思っていた外見的な特徴が、次第に「まあ、それほど重要じゃないかな」と感じるようになることも珍しくありません。逆に、「一緒にいて楽」とか、「この人の前では素の自分でいられる」といった感覚の重要性が増していくのです。

 長い人生を共に歩むパートナーを選ぶとき、外見の「今」だけではなく、10年後、20年後の姿も想像してみる必要があります。若さや美しさだけを基準にしていると、年齢を重ねるごとに「選び直したい」という気持ちが芽生えてしまいかねません。そうではなく、「この人となら年をとるのも悪くない」と思える関係こそが、本当の意味で長続きする関係なのではないでしょうか。



【「好きな顔」より「好きになれる人」】


 むしろ、本当に長く一緒にいられる人って、「顔がタイプだった」よりも、「話してると安心する」とか、「疲れて帰ったときにそっとしておいてくれる」とか、そういう小さな感覚の相性が決め手だったりする。つまり、「好きな顔」と「好きになれる人」は、必ずしもイコールではありません。

 病気のときに無言でサポートしてくれる人、失敗したときに責めずに寄り添ってくれる人、夢を応援してくれる人—そんな「感覚の合う人」は、日常生活の中で少しずつ見えてくるものです。それは、デートの短い時間では見えにくく、ある程度の期間をかけて関係を深めていく中で、徐々に実感できる相性です。

 また、「外見が好き」という感覚はだんだんと「慣れ」が生じてきて、最初のようなドキドキは薄れていきます。それは悪いことではなく、自然な変化なのですが、そのときに「外見以外に好きなところがたくさんある」と思えるかどうかが、長い関係の鍵を握っているのです。



【バランスの取れた「選び方」】


 それでも私たちは、「せっかくなら見た目も良い人がいい」と思ってしまう。それはもちろん自然なことだし、自分の好みを大事にするのは悪いことではありません。ただ、好みやときめきに夢中になっているときほど、「それ以外の部分もちゃんと見えてるかな?」と、自分に問いかける余白を持っておきたいのです。

 婚活においても、外見の好みは大切な要素ですが、それが「絶対条件」になりすぎないようにバランスを取ることが重要です。たとえば、プロフィール写真だけで判断せず、実際に会ってみる。会話の中で相手の価値観や生活習慣を知る。共通の趣味や興味を見つける。そうした「内面との出会い」を大切にすることで、より深い相性を確かめることができるのです。

 最初のドキドキ感は素晴らしいものですが、それだけで関係が続くわけではありません。外見だけでなく、「この人となら長く一緒にいたい」と思える要素を見つけることが、結婚を視野に入れた関係では特に重要になってきます。



【答え合わせは後からしかできない】


 恋愛は、答え合わせが後からしかできないものです。「この人を選んで正解だった」と思えるようになるのは、選んでからの二人の積み重ねのなかで決まること。見た目だけじゃなく、会話の心地よさ、生活のテンポ、沈黙の安心感、そういった"肌感覚の相性"まで感じながら選べたとき、その選択にはきっと、納得感と手応えがあるはずです。

 結婚生活の中で重要なのは、「見た目の良さ」よりも「価値観の近さ」や「困ったときに支え合える関係性」、そして「お互いを尊重できるかどうか」です。これらの要素は、最初のうちは外見ほど目立たないかもしれませんが、長い年月を経るうちに、その重要性がどんどん増していきます。

 最終的には、「この人の顔が好き」という感覚も大切ですが、それ以上に「この人と一緒にいると自分らしくいられる」という感覚が、長続きする関係の基盤になるのではないでしょうか。婚活において大切なのは、外見のときめきだけでなく、そうした内面の相性にも敏感になりながら、バランスのとれた選択をしていくことなのです。

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