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あめつち  作者: きまぐれ猫


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ツノトンボ

ツノトンボという生き物を知ったのは二年前。

花壇の支柱に、チョウとトンボの掛け合わせのような虫が止まっているのを見つけて、調べて出てきた名前がツノトンボだった。


ツノトンボは、似ていると思ったチョウやトンボではなく、全く別の、ウスバカゲロウの仲間なのだそうだ。

ウスバカゲロウなんて、名前を聞いたことがあるくらいでほとんど知らない生き物だったけれど、それこそトンボに似た姿だということをその時に知った。

私がそうだったように、アリジゴクが成長するとウスバカゲロウになると知らない人は多いだろう。


ツノトンボは珍しい生き物で、特にキバネツノトンボの場合は絶滅危惧種に指定している都道府県があるそうだ。

我が家の庭に来るのは、脚の付け根が黄色のキバネツノトンボ。

希少な種が芝生の上を数匹で飛び回る様子を観察できる我が家の環境は、とても貴重なのかもしれない。


存在を知ってからは、飛び回っている状態でもツノトンボだと見分けられるようになった。

五cmに満たない大きさで、黄色と黒の翅、先が丸くなった長い触角に、フサフサの毛で覆われた体。

チョウのようにひらひらとではなく、素早いけれど目で追えて色の見分けが付く程度の速度で飛んでいる。

昨年も今年も、日中に芝生の上を飛び回っていて、そこを好むのはどうやら他の虫を捕食しに来ているかららしい。

彼らが生きていくのに必要な環境の一部が我が家の庭なのだと思うと、何だか嬉しく感じる。


キバネツノトンボが絶滅危惧種だと知ってから考えていることがある。

野鳥でさえ未だに聞き慣れない囀りを聴くことがあるくらいだから、知らなかったり認識出来ていない生き物は周囲に沢山いるのだろう。

その中にはツノトンボのように希少な生き物もいて、もしかしたらまだ気付いていないだけで、どこだって特別な場所になり得るのかもしれない。


その生き物が生きられる環境がそこにしかないと考えると、どんな場所も何かにとっては特別な場所。

身近な場所で言えば、それは私の家の庭であり、周囲の田畑であり、近くにある雑木林や沼地なのだろう。

それを知っていれば、私にとっても特別な場所で、守るべき環境になる。

でも自分の家以外の環境を守るとなると私一人では不可能で、きっと多くの人が大切な環境だと知ることが必要になる。


ただ環境を大切にしよう、守ろうと呼びかけるだけでは、何をすれば良いのか分からない。

でも、そこに絶滅に瀕している生き物がいると知れば、関心が向くし守るための方法を考えるようになる。

そうして沢山の人の意見や知識が集えば、きっとそれは大きな行動の変容に繋がるだろう。

そうした行動の一歩目として、自分の身の回りに関心を向けることが大切になるのではないか。


絶滅危惧種になるくらいだから、今見ているキバネツノトンボもちょっとした環境の変化で容易に見られなくなるのだろう。

何が切っ掛けで姿を消してしまうのかは分からない。

だからこそ、今ある周囲の環境が変わらずにあることを願わずにいられない。


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