プロローグ:返らぬ残響
※本作は「死別」や「病気」、および「精神的に苦しい描写(鬱展開)」を含みます。
また、結末についてはハッピーエンドとは限りません。
読者様の体調や好みに合わせて、無理のない範囲でお読みいただけますと幸いです。
#槍ヶ岳に散る #最後の青 #小説家になろう #切ない #悲劇 #信州 #涙腺崩壊
(一人称視点:江戸)
槍ヶ岳の頂上は、人と天界が最も近づく場所だと言われている。そこで叫べば、その声は神様にまで届くのだと。
けれど、あの朝。凍てついた雪を「御来光」の光がなぞり始めたとき、僕は叫んだりしなかった。ただ、呆然と立ち尽くしていた。背中に感じる親友の体の重みと、僕が愛した少女の啜り泣きが、日本アルプスの静寂を切り裂くのをただ聞いていた。
僕の名前は、篠原江戸。失格のリーダーだ。命を謳歌するためにみんなをこの頂へと連れてきたはずなのに、僕が見つけたのは、ただ「最も美しく、命を失う方法」だけだった。
あの日の長野の空は、どこまでも青かった。痛いくらいの、青。
それは、僕たちの青春が、花開く直前に無惨に散っていった様を見届けた、残酷な証人の色だった。
ご来訪ありがとうございます。
この物語は、信州の雄大な自然を舞台にした、救いのない、けれど純粋すぎる6人の若者の記録です。
頂上を目指す彼らが、何を失い、何を残していくのか。
最後までお付き合いいただければ幸いです。




