第16話 ラックの話(5)
こえがきこえる。
大丈夫かと、オレにしゃべりかける声だった。
喉に何か詰まっているような…。咳が出た。
目が開けれる…。
「大丈夫か!?シュン!」
アザレアか。
「シュンさん!」
ヴェルデの声。
爆発音で起きた。
なんとも最悪な目覚めだろう。
「何があった?」
アザレアの手をつかみ立ち上がる。
アザレアのかわりにヴェルデがオレの問いに答えた。
「負けました。ラックに」
オレは街のほうを見る。損傷なしか…?
オレがアザレアにもたれかかっていると彼女が言う。
「逃げたんだ、あいつ。最初は我々が押していたんだかな。やっぱラックの運はすごすぎた。街は無事だったが、イニッツィオにいたパーティーは全滅と言っても過言じゃない」
負け…たのか。オレがもし、油断してなかったら?
「なーんて」
オレはアザレアの肩から離れた。
オレが、後悔してるとでも?
そんなわけ無いだろ。なめんなよ、オレを。
「行くぞ、アザレア!ヴェルデ」
ヴェルデがマントを脱ぐ。
「どこへ?」
「追いかけんだよ、ばーか」
アザレアがきょとんとしている。
ヴェルデは…表情が読めない。
オレは…この世界も好きだから!
「ところでアザレア。ラックはどこに行ったんだ?」
アザレアは首をかしげる。
「私もわかりません」
ヴェルデが言う。
おっとぉ?これは…詰みである!
その時だった。
「私をお探しですか」
聞いたことがある声。
たしかにそれは、ラックだった。
ただ周りにその姿はない。変装か。
アザレアとヴェルデもそれに気づいたのか、警戒し始める。
「幸運!」
オレの頭にバードストライク!いてぇ!
これはラックの魔法か。てか全然ラッキーじゃない!ある意味ラッキーだけど、ラッキーじゃない!
ぜってー殺す…!
「ひえっ」
オレの殺気に気づいたのかヴェルデが声を上げる。
それと同時に、アザレアが呪文を唱え始めた。やば〜。
「我の名にかけて、神たちに力の付与を命ずる!我に力を与え、莫大なる技を与えよ!すべてを統べし者になれ!『ブラックホール』!」
呪文って変わるんだ。
あぁ、もう…もうやめてくれ。どうせ報酬減るんだろうな。もう…ヤメテ…。
周りが吹き飛ぶ。爆発とともに。草原ははげ、木は根ごと吹き飛んだ。レインボーに輝く星は、地に振り注ぐ。漆黒の球体は見覚えしかない風景を映し出した。爆発は見飽きた。
ヴェルデは呆気にとられていた。
アザレアは、ドヤ顔でこちらを見ていた。
まぁ…アザレアに出す無駄な出費はなくてよかったな。
因みにその出費とは、ガチガチのアザレアの買収をいう。
これコメディ?
コメディですけど。
次も是非読んでください!




