表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/617

『嵐の前の静けさ』

 例の親子になるべく近づきたくなかったので、オフェーリアは助手君に代わってもらって御者台に座らせてもらった。

 ようやく冬籠りが終わった春なのだが、日がささないと寒く感じる。

 今日は一日曇りのようで、オフェーリアは防寒のローブを羽織っていた。



「まったく……突然飛び出していくからびっくりしたよ。

 しかし、ことの次第は後から聞いたが、よく我慢してくれたな。ありがとう」


「それでなんだけど、あと8日くらい?

 はっきり言って顔も見たくないので、このあたりでお別れしようかと思っているの。

 ……今回はなんとか我慢したけど、もうこれ以上自信ないので、次は手も足も出るかもなのよ」


「う〜ん、子供同士の喧嘩ではすまないと言うのだね?」


「殺すかもしれない」


 昏い目をしてそう言うオフェーリア、洒落にならない。



 それなりの時を生きていると、なんでもそつなくこなせるようになっている。

 オフェーリアは今、御者とともに御者台にいて、馬の手綱を操っている。

 4頭立ての馬車なので少し難しいが、慣れてくると順調に進むことができるようになった。

 そして懸案の例の件だが、とりあえず今夜は一緒に宿屋に行くことが決まった。


「俺はフェリアちゃんみたいな魔法使いに初めて会ったよ」


【飛行】を使いこなして大空を飛び回る人間なんて初めて見た。と言って御者が笑った。


「そうね、ついカッとして本性を出しちゃった。

 なので私が叩くと爆裂しちゃうって言うのも理解してくれるわよね?」


 もう何度目かになるやり取りだ。

 そしてあの親子のみがその深刻さに気づいていない。


「離脱するにしても返金は求めないから安心して?」


 オフェーリアたちの旅が順調だったのはこの夜までだった。




「ものすごい雨音だけど、一体何?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ