『怖い女のお話』
「プロポーズって……」
助手君は絶句している。
「私、今まで2度婚約時点でぽしゃってるの。
相手に他に女がいてね」
修羅場である。
ド修羅場が恐ろしくて堪らない助手君だ。
片やジニーは真剣に聞いている。
「なんてもったいない!
フェリアちゃんほどの美少女のどこが気に入らなかったんだ?!」
「当時はもう少し大人しめの容姿に変化していたのよね。
それと2回とも先に彼女がいたみたい」
「政略結婚か。
それでもそんな相手しかいなかったのか?」
「さあ、どうでしょう……
私は、行けと言われた所に行っただけだから」
達観しているというか、何というか。
だがこれでフェリアが上流階級、恐らく貴族令嬢だということが確定して納得したジニーだ。
「まあ、でも今は好きにさせてもらってるわ。
さすがに3回目はないでしょうしね」
「若いのに苦労してるんだな」
「んふふ……」
オフェーリアは意味ありげに笑った。
「どうかな、案外かわらなかったりして、ね?」
助手君は言われた意味がわからなかったようだがジニーはピンときたようだ。
「フェリアちゃん……あんたはもしや伝説の妖精族か?」
「どうかしらね。
たしかに私たちは長命な種族だけど」
因みに前マザーは、オフェーリアが聞いたところによると3000年は生きている。
「あの〜
それでお別れになった人はどうなさっているのですか?」
空気を読んで種族の話題を蹴ったのか、それとも読めずに蒸し返したのか、その意図はわからないが微妙な話題を振ってきた。
「2回目のはたぶん死んだわね。
1人目はよくわからないけど無事ではすまなかったと思うわよ」
オフェーリア、危険な女である。




