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『乗客たち』

 オフェーリアが助手の少年と話している間に冒険者たちは挨拶を交わし、すでに担当などを決めていた。

 そうこうするうちに乗客が集まり始める。

 まずは大荷物を持った30代後半、人間に見える男。だが恐らく彼も何かの獣人なんだろう。

 早速ファントが荷物を載せるのを手伝っている。

 次にやってきたのは垂れ耳の犬の親子だ。

 その6〜7才の少女は小さな背嚢を背負い、母親のスカートを握りしめている。

 彼女らは終点の商業都市まで行くわけではなく途中の村で降りるようだ。

 そして最後にやってきたのはこぎれいな服を着た商人の2人連れだ。

 今回は商売ではなく知人の葬儀に向かうらしい。

 全員割符を持っており、停留所の職員が確認して馬車に乗せていた。


「では出発します」


 御者がふるう鞭が馬に入り馬車が動き出す。

 オフェーリアはここまで来た時と同じように御者台の真後ろの席に座り、話しかけないで欲しいと全身で訴えていた。



 馬車内は男の囁くような話し声の他は概ね静かだった。

 これはあの親子連れの子供の方が朝が早かったからだろう、母親の膝でうたた寝をしていたのだ。

 他にも大荷物の男もジッと目を閉じていた。


「もうすぐ休憩だ。

 ……どうする?俺たちと一緒に食うか?」


 今日は馬車の中で待機している蜥蜴人ワランが尋ねてきた。

 オフェーリアもまだ新しい乗客たちと馴れ合うつもりはないので、喜んで受け入れることにした。


「うん、ありがとう。そうさせてもらうわ」


 乗り合い馬車の旅で乗客の食事は基本自己責任だ。

 特に昼食は種族によっては食べないものもいるが、すべて自分で用意するものなのだ。

 なので宿屋では別料金で弁当を頼むことが出来る。


「今日の休憩地は川沿いの土地だ。

 水を汲むのなら付き合うぜ」


 最初はほとんど口をきかなかったが慣れてくるとしだいに饒舌になっていった蜥蜴人。

 でも、今何か気になることを言っている。


「水を汲むって……?

 何のために?」


「もちろん飲み水だよ」


 それはちょっと問題あるのではないかとオフェーリアは意見することにした。


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