『護衛の冒険者』
商業都市バイショーまでの運賃は金貨8枚。
高いのか安いのかよくわからないが、途中の宿代はもちろん客側の負担で他に昼食や野営の場合の朝食夕食の用意も客持ちである。
「なので最低限の食料は用意してくれ。
野営の場合の寝床は馬車を使ってくれてもいい。
それとこれが割符だ。
運賃が支払われているという証明になるので、明日の朝来た時に渡してくれ」
オフェーリアも長距離の乗り合い馬車は初めてではないのでそのあたりのことは承知している。
停留所で客に配布している簡単な路線図をもらって、この場をあとにした。
早朝、停留所にやって来たオフェーリアは、もう広場に停留している馬車の周りに数人の冒険者の姿を見た。
「おはようございます」
昨日対応してくれた事務員を見つけて近づいていく。そして割符を手渡した。
「おはよう、お嬢さん。
始発のここからの客はお嬢さんだけだ。
あと、あいつらは護衛の冒険者たちだ」
大型の背嚢を背負ったガタイのよい大男が3人と小柄な男が1人。容貌は人間よりから獣人そのもののものまでバラエティに富んでいる。
「あともう1人いるはずなんだが、先に顔合わせしておくか。
おい、集まってくれ!」
ちょうど馬車の乗り口の前にいたオフェーリアと事務員を中心として、護衛の冒険者と御者、そしてその助手が集まった。
「今年の冬籠り明け一発目の運行は珍しく乗客がいる。
バイショーの町まで一緒に旅をする事になるのでよろしく。
お嬢さん、こいつらは冒険者パーティー【蒼穹団】の右からリーダーの羊人ジニー、蜥蜴人ワラン、狼人パンナ、猫人ブランデルグだ。
それとうちからは御者のサミエルと助手のジョルジュ。
えーっと、お嬢さん名前は?」
「フェリアです、よろしくお願いします」