表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/617

『冬籠りの冒険者ギルド』

 久しぶりに雪の止んだある日、オフェーリアは気まぐれで門前町にやって来ていた。

 そこは思っていたよりも整備されていて、門から広場の周りの主要な施設に向かう道が雪かきされている。


「さすがにここは手が入っているか……」


 ここに来る前上空から見たところによると、城下町の方はそれほどでもない。

 多層階の建物が多いせいか、それとも雪に埋もれた時のために設えてある通路があるせいか雪かきされている場所は少ない。


「まあ、まずはギルドを覗いてみようかな。

 こんな時に来る冒険者なんてまずいないだろうから、ひょっとしたら閉鎖されてるかもね」


 などと言いながらドアに手をかけると、それは普通に開いた。


「おや〜珍しいお客だ!」


 薄暗く照明のランプの火を落とした中、手許の蝋燭の灯で本でも読んでいたのだろう、かけていた眼鏡を外してこちらを見たのは鑑定士の爺だ。


「開店休業のようね。

 でもまさかやってるとは思わなかったわ」


「儂はここに住んどるからな」


 これはオフェーリアも初耳だった。


「この間行った解体場の手前に部屋がある。

 食事も普段ならギルド併設の食堂で済ませるんじゃ……なので冬籠りの間は休みになって不便なことこの上ない」


 現に爺は冬籠りに入る前に購入したパンなどで食いつないでいた。

 そろそろ食べ物がなくなるので調達しにいかなければならないところだ。


「じゃあちょうどよかったかしら。

 実はシチューを作りすぎちゃってね、食べてもらえる人を探していたの」


 異空間収納から出した鍋はたった今火から下ろしたように熱々だった。


「おお、済まない。

 もうこの歳になってから料理を覚える気になれなくてな。

 冬籠りは毎年なんだがな」


 一体何の獣人なのかわかりにくい、一見して普通の人間に見える爺はカウンターの向こうから出てきてオフェーリアに謝意を示した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ