『ハズレの冒険者ギルド』
門を入ったところには乗り合い馬車の停留所をはじめ、武器・防具屋や雑貨屋、主に食べ物を売っている屋台、宿屋などのほかに冒険者ギルドがあって小さな町の様相を呈している。
オフェーリアは早足で広場を横断すると、一直線にギルドに向かった。
「さて、ここのギルドはどんな様子かな?」
大柄な獣人が利用するためだろう。
まるでダンジョンのボス部屋の扉のように大きな扉が威圧を放っている。
「うう、ちょっと緊張しちゃうわ」
少々ドキドキしながら扉を引くと思ったよりも軽く開いて、中にいるものたちの視線が一斉にオフェーリアの方に向いた。
「いらっしゃい!」
カウンターの中から威勢よく迎えてくれたのは、癒される美女ではなく逞しいおっさんだ。
当然野太い声で出迎えられる。
「いやあ、珍しいお客だなぁ!
見慣れない娘だね。旅人かい?」
「ギルドカードの発行と素材の買取をお願いしに来ました」
「おや」
カウンターの職員は見た目は厳ついヒト族だが、その身長はゆうに2mを超えていて座っていても威圧感がある。
その彼が身を乗り出してオフェーリアを見た。
「悪いが身分証がわりの発行はしてないんだ。
ここは実力重視の国でな。
防壁の中に危険はないが、一歩外に出たら……他所からきたんならわかっているんだろう?」
オフェーリアはそれほど強い魔獣に出会わなかったが、ここはいつも危険に晒されているのだろう。
「ええ、なのでこれを」
オフェーリアはここで言う【中大陸】と【東亜大陸】のギルド発行のカードを揃えて出した。
カウンター職員の大男の顔色が変わる。
「お嬢さん、あんた他所の大陸から来たのか!?」




