『結論』
「これは……こんなものは我々にはない」
オニールが呟くようにそう言った。
「ええ、そうなんです。
……ご存知ですか?
我々魔法族とヒトとの間に約定が交わされてかなりの時が経ちます。そしてそれなりの数の混血児が生まれ、殆どのものが魔法を使うことができました。
でもそれは元々その体内に魔力を溜めておく器官(魔力庫)を持っていることが重要でした」
オフェーリアの言うことが正論なのは、医学を司るものとして理解はできる。
理解はできるが認めたくないものだ。
「私は今の魔法族の中では最年少なので伝聞されたことしか知りませんが……この国の方たちのように魔力庫を持たない場合、例え私が輿入れしても魔法使いを生むのは、おそらく無理でしょう」
オニールたちは絶望のあまり俯いてしまった。
「私が思うに、2つの大陸の人間は元々は同じものだったのだと思います。
でも何かがあって別々の大陸で別れて住むようになって、長い時をかけて別の進化を遂げたのだと思います」
「さようでございますか」
3人に落胆の色は隠せない。
「私はこのことを女王陛下に報告してあります。
……先日の公爵家令息の件もあり、近々召還命令が出ると思います」
「フェリア様、この度は貴重な情報をありがとうございました」
オニールたちは深々と頭を下げた。
彼らの例の公爵家令息の話は聞き及んでいる。
そして彼の暴言が原因で行われた数カ所に及ぶ制裁での犠牲者のことも。
マウリッツなどは実際に怪我人の治療も行っていたのだ。




