『舞踏会、開始』
「皆さま、ありがとうございます。
このような時のために向こうで用意してきたドレスですの。
あの……変ではございませんか?」
「変なんて!
とてもお似合いですわ。
特徴的なデザインで、見違えましたわ」
オフェーリアはお淑やかにしていれば見た目は美少女である。
ただ、その身長の低さと童顔ゆえどうしても幼く見えてしまうのだ。
だが今日は薄くだが化粧もしていて、アンバランスな色気すら漂っている。
「この染めも特別なものではないですか?
普通このような発色はないはずです」
実家が服飾関係の商売をしている、取り巻きの1人がそう言った。
彼女は目を皿のようにしてドレスを見ている。
「これは【染色魔法】で染めたものです。
私の保護者の1人であり教官である方が使う特殊な魔法で、今現在彼女しか使えないのですよ」
「魔法ですか……納得ですわ。
あら、始まるようですわ」
今日の舞踏会は生徒会の主催である。
なのでひな壇には最上級生である生徒会長(男)と副会長(女)が上がっていて、挨拶を始めた。
「紳士淑女の皆様、今日は学院恒例年に一度の舞踏会です。
パートナーがいらっしゃる方はもちろん、フリーの方々も出会いを求めて楽しんで下さい!」
「飲み物や軽食も十分用意してございますわ。
……では、ファーストダンスをどうぞ」
このファーストダンスは婚約者などパートナーがいる生徒が対象だ。
今し方挨拶していた2人もカップルだったのか、踊りの輪に加わって優雅にダンスをし始めた。
ちなみにこの舞踏会は生徒が対象だが、その婚約者が部外者だとしてもその参加は認められている。