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『舞踏会、入場』

 その扉が開くのをドーソンたちは固唾を飲んで見守った。


「フェリア様……」


 最初にそう声をかけたのは誰だったのか、皆オフェーリアの姿に見惚れていた。

 すると。


「付き添いの支度はできているのかしら?

 もうそろそろ出かけた方が良い時間のはずよ」


 慌てて立ち上がったのは、今日も付き添いを務めるアメリアだ。

 本来婚約者などパートナーが居ない女生徒たちは、こうして付き添いの女性が舞踏会の行われる高等貴族学院のセレモニーホールまで同行する。

 そして舞踏会が終わるまで別室で待機するのだ。



 オフェーリアが会場のセレモニーホールに入ったのは集合時間ギリギリだった。

 当然、その入場は目立つ。

 彼女が大扉から姿を表すと会場内の視線が一斉に向けられた。


「まぁ……」


「なんてお美しい方なの……」


「あの方、ひょっとして噂の?」


 同学年を含めて殆どの生徒が、今日が初見であるオフェーリアを見て囁いている。

 男子生徒はその美貌に、女生徒はドレスに夢中だ。


「なんて洗練されたデザインなのかしら。

 そしてあの生地、あのお色……

 素晴らしいわ!」


 オフェーリアが進むにつれて騒めきが広がっていく。


「フェリア様!」


 そんなところにクラスメイトのタマラとその取り巻きたちが近寄ってきた。


「皆さま、ごきげんよう。

 なんとか間に合いましたわ」


「なんて素敵なドレスなのでしょう!

 ……申し訳ございません、不躾でしたわ」


 やはりタマラも女子である。


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