『ドレス』
翌日早速都に戻ってきたオフェーリアは、真っ直ぐある場所に向かった。
「あら、いらっしゃい」
ここはオフェーリアの担当教官のひとりであるダイアナが、その趣味を前面に出した店、都一番のドレスショップである【ディアマンテ】である。
「ご無沙汰してます、ダイアナ」
「あら、名前を呼んでくれるの?
嬉しいわ」
「そういう約束だったでしょう?
……それよりもお願いがあって来ました」
「あらぁ、フェリアが私にお願い?
本業(付与魔法の大家)じゃあないわね?
じゃあ……」
「舞踏会のためのドレスを作って下さい」
「キターーーーッ!!」
ダイアナ教官が狂喜乱舞している。
「任せてくれるの?
私に全部任せてくれるの?!」
「もちろん。
私は、この手のことは全く駄目なので」
ダイアナの顔つきが変わった。
「予算は?」
「常識の範囲で、ありません」
ダイアナが本気モードに入った。
「舞踏会はいつあるの?」
「10日後だと聞いています」
「なんてこと!!」
その時のダイアナの形相は筆舌にし難い、凄まじいものだった。
オフェーリアが思わず後退ってしまったほどだ。
「今日中に生地のお色とデザインを決めてしまうわよ!
染めから始めるのにはギリギリだわ」
こうなると妥協は一切許さない。
「最高級のアラクネ絹にお色はブーゲンビリア(ピンク系)をベースにしましょう。
フェリアはちんちくりんなのでこのくらい鮮やかな色合いでないと周りに埋没してしまうわ」
少し派手ではないかと思ったが、ダイアナに任せておけば間違いない。




