『舞踏会への誘い』
結局、現状維持ということで話は終わり、オフェーリアは王宮を後にした。
この時事実上の斬り捨て御免の権利を得たオフェーリアだが、もちろんそんなことをするつもりはない。
「でも、かなりの自由裁量権を勝ち取ったわ。
これでダンジョンへも自由に行けるし、ちょっぴり小煩いドーソンも黙らせることができるわね」
とりあえず第4王子エクトルが遠征から帰ってくるまでの自由を勝ち取ったオフェーリアは、とても機嫌が良い。
「高等貴族学院恒例舞踏会の夕べ。
……何ですの、これ?」
「年に一度の男女交流会ですわ。
我が学院は共学ですがいくつかのクラスを除いて男女は別々の学び舎ですから。
この時期の舞踏会は出会いの場でもあるのですよ」
タマラから渡された招待状を胡散臭そうに見て、オフェーリアは溜息を吐いた。
「……全員参加、ですわね?」
「はい、そういうことになっておりますわ。
当日は婚約者などパートナーがいらっしゃらなくても大丈夫なのですよ」
タマラは生徒会の役員であり、同じクラスであることである程度の情報は得ていた。
今のところ正式な婚約者が確定していないことも知り得ていた。
「フェリア様は退屈と仰るかもしれませんが、たまにはよろしいでしょう?
私どもがお側におりますので安心して下さいませ」
「お心遣いありがとうございます。
ではドレスコードを詳しく教えていただけますか」
舞踏会まであと10日、色々忙しくなりそうである。




