『ずる休み?』
編入生が登校してこないことは、それなりに騒動になっていた。
ただ学院側には連絡が入っていてそれは受理されている。
オフェーリアは朝からアトリエに篭り、就寝時間になっても戻ってこないこともあった。
「あ?もうなくなった?」
品質を落とさないよう、ポーションは10本分ずつ調薬していたのだが、ベースとなる魔法水が残り少なくなっていた。
今日の調薬を始める前に、巨大なガラスの瓶いっぱいに作ったはずがいつの間に。
オフェーリアは殺菌済みの新たなガラスの瓶を取り出して魔力を多く込めた【ウォーター】で出した水を溜めはじめた。
ポーション作りもほとんどの工程を魔法で行うので、その手間もそれほどでもない。
ある鉱物を細かく砕いたものを普通のウォーターの水で煮出す。
それを蒸留機にかけて成分を抽出する。
次は先だって大量に作って置いた、通称薬草、オメガ草の粉末を、今度は火にかけずにそのまま漉したもの作り、最後にポーションの質を決める蛇系魔獣の肝の抽出液を正確に計って合わせていく。
それをポーション用のガラス瓶に注ぎ入れ、最後に魔力を込めると無色透明だった液体が一瞬で青味がかる。
「はい、出来上がり。
初級ポーションはそれほど難しくないけど、数がね」
騎士団用と冒険者ギルドに卸す用で最低100本は用意しなければならないのだが、先日からうんざりする学院生活が始まったところで、サボるのにちょうどよい。