『ずる休み』
高等貴族学院に編入して3日目。
オフェーリアは転移して、ダンジョンに潜るためにベッケレートにやって来ていた。
だが町に顔を出すと煩い連中に捕まってしまう。
なので直接ダンジョンの50階層に転移してきたのだ。
「このあたりにはたしか亜竜がいたはずよね。
ちょうどいい憂さ晴らしになるかしら」
オフェーリア、今日はストレス解消にこのダンジョンにやって来ている。
たまには暴れないとやっていられない。
それほど、あの国はオフェーリアに負荷をかけていた。
「まだ家にいるだけならいいのよ。
あの学院というのが、どうも性に合わないわ。
それなのに、放っておいてくれればいいのに、あのお嬢様たちは……」
初日と同じように昨日も纏わり付かれてもう辟易としていたオフェーリアは、目の前に現れたワイバーンを嬉々として屠っていく。
そしてオフェーリアが学院に編入した理由のひとつ、件の公爵家嫡男とはまだ遭遇すらしていない。
「とりあえず今回は輿入れのための特別講習として3日間の休みの届けを出したけど……
薬師だと言うつもりはなかったけど、そちらの方の調薬が忙しいので学院を休むということにしようかしら。
事実騎士団にポーションの納入を頼まれているのだし」
それならばアトリエに篭っていても不思議はない。
このことはドーソンだけでなく、元女官の2人や執事も聞き及んでいるはずだ。
「うん、中々良い思いつきじゃない?」
もう自分勝手な人間たちに愛想が尽きそうである。




