『編入初日』
“前回”と違ってそれなりに歳を重ねた(基準は人間、魔法族としては赤児にも等しい)オフェーリアは年下のクラスメイトたちを温かい目で見ていた。
ただ、この見た目である。
身長は150cmないし、童顔でもある。
金髪紫瞳のハイ・エルフに擬装しているがエルフ自体を見たことがない者たちである。
エルフ=精霊の仲間というお伽話を信じているものが多いのだろう。
まだ周りが騒めくなか、オフェーリアは指定された席に着き授業前の点呼が始まった。
オフェーリアは面倒臭い人付き合いなどは要らない。
なので学院でも馴れ合うつもりはないのだが、こちらがそう思っていても向こうは放っておいてくれない。
昼休憩の時間になり、食堂でアメリアの介添えで昼食を摂っていると、クラスの代表(この時点で彼女が生徒会の役員だということは知らない)であるタマラが声をかけてきた。
「お食事中に失礼致しますわ。
ここ、よろしいかしら?」
どうやら同席を望んでいるようだ。
オフェーリアはどうかすれば素っ気なく見える程度の肯定を返した。
すると同行していた取り巻きの女生徒3名がタマラが座ったのちにそれに続く。
「改めまして、タマラ・オルダインでございます。
急に環境が変わってお戸惑いのことでしょう。
学院内のことでお困りのことが有ればなんでも仰って下さいませ」
オフェーリアとしては目の前のタマラこそが現在進行形で困りごとなのだが、さすがに口にはしない。
「ありがとうございます。
オフェーリア・デラメンテラ=ハプレイシスでございます。
ここもいつまで通えるかわかりませんがよろしくお願いします」
この時点で気疲れしてしまったオフェーリアは、明日から登校拒否したい気分だった。




