『騎士団長の訪問』
「どうです?
落ち着かれましたか?」
強引な引越しから10日。
屋敷の中の家具はすべて異国(魔法族の都をはじめあちらの大陸風)でまとめ、女性らしさを引き立たせている。
使用人もそのほとんどがオートマタで、メイドだけでなく警備などを担当する男の使用人もオートマタで揃えられていた。
「ええ、ずっとバタバタしておりましたけれど、やっと落ち着きました。
それよりも今回はとても良い方を紹介していただいてありがとうございました」
今、オフェーリアを訪ねてきているのは第3騎士団団長で、彼に執事を任せられる人選を頼んでいたのだ。
彼はすぐに怪我で退団した以前の部下を紹介してくれて、すでに執事として有能さを発揮してくれていた。
同時に保安担当の責任者も推薦してくれていて、屋敷は一気に賑やかになっていた。
「しかし、本当に言われるまで、まさかカラクリの人形だとは思いませなんだ」
今、2人にお茶を出しているオートマタのメイドを第3騎士団団長はしみじみと見つめている。
「魔法族の都でも、最先端のオートマタですの。
今回のことを心配した師匠が持たせてくださいましたのよ」
「お里には素晴らしい技術があるのですね。
これは私どもでも使役できるのでしょうか?」
第3騎士団団長は興味津々だ。
「そのことなのですけどね。
……まあ、私の独り言だと思って聞いて下さいます?
実はお気づきだと思いますが、私は【鑑定】魔法が使えます。
それでこの大陸に来てから違和感を感じて【鑑定】してみたところ、今までのところこの国の人には魔力がない事が確認できました」
「魔力がない?」
「ええ、この国、この大陸の全員を見たわけではありませんし、確定ではないですが……皆さんには魔力を作り出す器官もそれを溜めておく器官もないように見受けられます」
「なんと……」




