表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/103

隣人の決闘2

それからセシルは紫の機械巨人も操り始め、2体の巨人で白いマイセルを挟み撃ちにする。しかし白いマイセルは飛行巨人が放った10本のレーザー、機械巨人の放った衝撃波を操り、広範囲に能力者達を攻撃していく。

ディエゴの力、手強い・・・。攻撃が全部跳ね返されちゃう。どうすれば。

ふとセシルの体がほんのりと光を帯びたのが見えたが、セシルに何か言う前にミサイルが飛んできて、その爆風で視界が遮断されてしまう。

きゃあ!

わー。

あっモートとテレサが飛んでった。大丈夫?

どうしようもなく落馬してしまい、体が激しく地面に叩きつけられてしまう。すぐに自分の体を治療する事で難を逃れたが、砂煙で視界が悪いのでとりあえず砂煙から逃れながらペガサスを呼ぶ。

テレサぁー。

「モート、大丈夫?」

平気だよぉ。けどミサイルが近かったから、死んじゃうかと思ったよぉ。

ペガサスに乗ろうと思った矢先、衝撃波が目の前を襲い、今度はペガサスとそれに乗る恐竜たちが吹き飛んでしまう。

「みんな!」

バームは雲なので無事みたいだが、他の恐竜たちとペガサスは転がってしまったので、一先ずペガサスを治療する。

「みんな、一旦離れよう」

振り返ると白いマイセルはまるで竜巻のように、全ての者の攻撃を巻き取り、そして全方位を広範囲に襲っていて、今度は私の方には火の玉が飛んできた。

逃げろー。



ある時は盾となり、ある時は拳となる、そんな万能なストールに守られ、源はしばらくして勝利を納めると、次に前に出たのは男子だった。不良達は女子が1人しか居ないので、大塚が前に出ていくと、直後に不良男子は3メートル級の、カブトムシ風の獣人へと変身を遂げた。

でかい・・・。大塚さん大丈夫かな。メンバーを変えても、他の相手の能力が分からないし。どうするか。

神田を見ると、特にメンバー交代はしないみたいで、それから大塚は可愛さと強さを併せ持った見た目の、ゲームに出てきそうな女性騎士へと変身した。

何か、騎士とモンスター。普通にゲームみたい。でも大塚さん、武器が無いけど。

何か魔法でも使うのかという感じで、大塚が不良男子に手をかざすと、不良男子は明らかに苦しそうに身を屈める。

何だ、男子の動きが、遅い・・・。

そう思った矢先、すでに大塚は不良男子を通り過ぎていて、不良男子はまるで豪速球に顎をかち上げられるようにのけ反っていた。

何だ!全然見えなかった。ワープ系、いや、高速移動系。しかもものすごい速い。

戦闘開始10秒ほどで、3メートルの不良男子は地面に倒れ、立ち上がれなくなる。

瞬殺・・・。どんな力だろ。

「すげえ」

究の呟きと同時に、この場の空気も静かな驚きに包まれたところで、不良男子は変身を解いた。

これで2対1か。あと1勝で勝ちだ。

不良なのに、倒された仲間を介抱するところに何だか不良っぽさが見えなくなってしまう中、次はヤマダが前に出てきた。

あとは神田君と相沢君か。

「オレ、後で良いかな?」

「ああ、いいよ」

神田君は隕石だしな。派手なものは控えた方がいいよな。

ヤマダは人をビビらせるような、刃渡り2メートルの美術品のようなシミターを出現させ、それを片手で肩に担いでみせる。

刃物系だなんて、大怪我させたらどうするつもりなんだよ。

対して肩を回しながら前に出た相沢は、何やら右手を顔の中心に置き、羽飾りの付いた黄金のヘルメットを出現させる。

ん・・・。

目を含めた顔の上半分が覆われ、いかにもヒーローっぽい格好いい感じにはなったけどそれだけかと思った矢先、相沢は黄金の光に包まれると、直後にボディスーツを纏い、肩回り、両手、両足には鎧を装着した、凄まじくマッチョな2メートルの巨漢となった。

うほっ。相沢君の原形、ゼロだ。覆面レスラー、じゃなくて覆面ヒーロー。ベタだな。でもカッコイイ。ギリシャ神話の神っぽい。

「行くぞ」

声も別人・・・。

「来いよ」

そう応えながらシミターを両手で構えたヤマダに向かって、相沢が走り出す。するとヤマダも走り出し、相沢よりも先にシミターを振り下ろす。こっちまで風を切る音が聞こえるほどのシミターだが、直後には金属音も響き、相沢は鎧に覆われた掌でシミターを受け止めた。

おっ互角かな。

そんな矢先、ヤマダは白銀色の水流を纏い、突き出した拳から水流の塊を放った。するとそれを体に受けた相沢は3歩ほど後ずさる。

水系かぁ。

水流自体には無傷だが、怯んだその隙を突いてヤマダはシミターを振り、相沢は肩から脇腹までを大きく斬られてしまう。

うわっ。あれ、さっきは受け止めたのに。

鎧もヒビが入り、裂かれたボディスーツからは血が滲み出てしまったが、相沢はすぐさまシミターに掴みかかる。しかし先程と何かが違うのか、相沢の手はシミターに弾かれ、更に全く重さなく振り回されたことでまた斬られてしまう。

うわ、こりゃ、勝敗見えちゃうかな。

「とんだ見かけ倒しだな」

「く・・・」

片膝を落としてしまったその態度から、相沢に勝機が見えないのが分かってしまうが、それでも相沢は立ち向かい、大きく振りかぶって殴りかかるも、ヤマダが作り出した白銀色の水流の壁で拳は受け止められてしまう。すると何やらヤマダは大きなシミターを消し、代わりに形は変わらないが半分くらいの大きさになったシミターを両手に出現させた。

うわ、二刀流になった。

それから白銀色の水流を体に纏うと身体能力が上がったように飛び出し、連続的に相沢を斬りつけ、そして最後に蹴り飛ばし、相沢を圧倒した。

「相沢!」

仰向けのまま少しして相沢の変身が解かれると、ヤマダは何も言わず、相沢に背中を向けて歩き出してシミターを消していった。

やられたか。やっぱり、言うだけあってヤマダは強いんだな。あれ、ていうか治療役・・・。

「柳菜、そう言えば治療役居ないし、治してあげてよ」

「うん」

僕に返事をした柳菜が相沢を治すと、相沢は相当落ち込んでしまい、見てるだけの僕でも何だか胸が詰まってしまう。

「ちゃっちゃと仇を取ってくるか」

肩を大きく回しながらも、むしろその表情が真剣になっていく神田が炎に包まれる中、対して前に出てきた不良男子は漆黒の炎に包まれた。

炎対決・・・。

「炎だけか?」

「いや?」

挑発っぽくそう聞いた不良男子に神田は毅然とした態度で応え、炎に包まれた体から更に光を放つ。すると直後に不良男子は漆黒の炎に包まれた体から紫色の雷を放った。それから直後、不良男子は足元から黒い風を渦巻かせ、宙に浮き出す。

うお、3つも力が。でも結局はレベル次第だよな。

更に黒い炎風は不良男子を完全に包み込むと、紫の雷が飾り付けられたそれは何だか禍々しい隕石のようにも見えてきた。すると負けじと神田も炎と光で体を覆い尽くし、その2人が生み出す熱は控えのメンバー達を後退りさせていく。

熱いな・・・。

そしてどちらからともなく、2人は瞬間的に加速して激突した。

うっわ!

衝撃波によって撒き散らされた熱風は僕達でさえ身を屈めなければならないほどで、仕方なく黒炎の怪鳥を発動する。

「すげえな」

でも究は楽しそうにそう呟き、炎を撒き散らしながら激しく殴り合う2人の戦いを眺めていく。



ここまで来れば、安全かな。ウルフ達、大丈夫かな。

遠くから眺めていても危険だと分かるくらい、白いマイセルが居る場所ではあらゆるものが巻き取られ、渦巻いていく。

あんなの、どうすればいいの・・・。

「やあ」

ん?

「ヨハン!ノブカツに聞いた?」

「あぁ。あの能力は随分と厄介だね。けど穴はある」

「穴?」

「意識の穴だ」

「意識の穴?操られないようにする方法があるの?」

「試してみよう」

そう言って余裕の笑みを浮かべたヨハンは高速移動で去っていった。空間把握の力でも追いつかないほど、ヨハンが一瞬にして圏外になった直後、白いマイセルの周りを渦巻くものたちが崩れていった。

意識の穴を突く。どういう事だろう。ヨハンの能力は高速移動と、その中での光速の銃弾。・・・あ、もしかして、操られる前に攻撃すればいいのかな?もうちょっと近付いてみようかな。

「あ、居た。テレサ」

ん?

「ナディア。ジョアンも」

それに、ドレイクにガブリエルに、エミリアンまで。

「本部のチームが全員来たら、本部どうするの?」

「問題無い」

ドレイクが無表情で一言を返すと歩き出してしまったので、とりあえず一緒に向かっていくが、そんな時に青い隕石がこっちの方に飛んでくる。

ああっ。

みんなが歩みを止める中、ドレイクだけは足は止めずに歩いていくと、やがて青い隕石はドレイクに当たる前に跳ね返って落ちて爆発した。

とりあえず、ドレイクのレベルよりも下の力は自動的に跳ね返るドレイクを盾にさせて貰おう。

少しして白いマイセルが近付いた時、何となく白いマイセルの、何かに気を取られているような態度がふと気にかかった。それは正に見えないほど瞬間的な攻撃に翻弄されているような動きで、しかし同時に思ったのは、それが白いマイセルを倒せる決定打にはならないという事。するとそんなところで変身したドレイクが白いマイセルに向かって走り出した。巻き取られたものが全てドレイクを跳ね返り、ドレイクが居るだけで白いマイセルを守る壁が取り払われたような状況になった直後、ドレイクは白いマイセルを殴った。

うわ、原始的・・・。

しかし今まで誰も近付く事すら出来なかったので、ただ殴っただけでも歓声が上がる。ガブリエルもエミリアンも変身し、ドレイクの拳に白いマイセルがよろめいた後、私の隣にヨハンが立った。

「やはり、臨界覚醒というのは、一筋縄ではいかないようだね」

「臨界覚醒?」

「ノブカツに聞いたんだ。白いマイセルは、取り込んだ能力者の能力を最大限に引き上げた状態で使ってると」

「そうなんだ。だから、ディエゴよりも強くなってるんだ」

「しかしレベル4の力でも数で押せば倒せるそうだ」

「そっか」

「能力には相性があるからね。あの白いマイセルの場合、ドレイクが適任だろう」

「ヨハンが呼んだの?」

「あぁ」

直接殴る事の出来るドレイクだが、それでも白いマイセルの能力を完全に無視する事は出来ないようで、直後にまるですごく体が重たくなったかのようにその動きは鈍くなる。

うわ、他人の能力じゃなくて、直に当てられたらやっぱりそうなっちゃうんだ。

しかしその瞬間、白いマイセルの能力の意識がドレイクに集中しているからか、周りの能力者の能力が操られず、赤い炎、青い光、黄色い電気が混ざった球体が白いマイセルを襲った。

うわあ、複数人の能力が混ざった強力な攻撃が・・・。

ものすごい攻撃に白いマイセルはボロボロになり、それだけで勝機への期待が充満するが、白いマイセルが戦場全体に能力を使うと、そこに居る全ての者の動きが鈍くなった。

ううぅ・・・体が・・・。



あ、消防車来た。

通行人が通報したのか、消防車がやって来たのでとりあえず指定自警団として、降りてきた消防士を迎える。

「通報したのは誰ですか?」

「分かりません。多分通行人だと思います。一応周りに被害が及んだらこっちで何とかしようかと思ってますけど」

振り返ると神田と不良男子は構わずに戦い続けていて、その最中に流れ弾のように炎の塊が飛んでいき、野球場と境界線の辺りの木が燃え上がった。

ああ、あわわ。

「柳菜」

究でさえ戸惑ったような声色の中、柳菜が木から火を捲り取ると、焦げた部分もキレイに直した。

「まぁ、指定自警団が居れば安心か。じゃあくれぐれも周りに迷惑がかからないように」

「はい」

消防車が去ってようやく、野球場の周りにやじ馬がいるのに気が付き、それでも神田達は広い野球場で思う存分炎を撒き散らしていく。

「お前らああ!!」

何だ!だ、誰か来た。

まるで自己紹介かのようにヤクザっぽい、柄の悪そうな男性が野球場に入って来るが2人は全くの無視で、すると直後に男性は10メートル級の、クワガタ虫と恐竜が融合したようなモンスターに変身した。

「聞けよ!ガキ共!」

ようやく戦いを止めた2人を見下ろすと、モンスターの男性は何やらいきなり2人に向かって殴りかかった。その拳によってそれこそ人が寄ってきそうな地響きが鳴る中、最初に男性を攻撃したのは不良男子だった。黒い炎風と紫の雷を纏っての突撃に、モンスターの男性は大きくよろめく。

「いってーだろ!お前ら、誰に許可取って撮影してんだ」

撮影?・・・。あ、ヤマダのグループの女子、そういえば最初から撮ってたんだっけ。

「お前に関係ないだろ!」

ヤマダがそう言いながら、出現させた大きなシミターを振り、白銀色の斬撃を飛ばしていくと、モンスターの男性は直撃を受けて吹き飛んだ。

「お前ら続きやってろよ。あいつはオレが倒しとくから」

倒すって・・・無闇に死人なんか出したら、僕達が責められちゃう。仕方ないなぁ。

ヒーロー部VS不良グループ、いよいよ最後の対戦ですね。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ