其の11 業罪の斥候
なかなか更新できずにスイマセン
(o_ _)o
今回は第一章にチラッと出ていた
人物が出てきます
伏線……なわけないです(~。~;)?
丁度良かったので出してみました
ではお楽しみ下さい
「…さて、どうしようか?」
謁見の間をやんわりと追い出された四人は城内をブラブラと歩きながら、これからの行動について頭を悩ましていた。
今、やるべき事はエルズの旦那の居場所を探し出すことなのだがこの世界の事情に詳しくない四人は何処に向かえば良いのかすら分からず正直、途方に暮れていたのだ。
「皐月お嬢様…」
不意に背後から声をかけられた。
「「……なっ!?」」
気配すら感じさせずに背後を取られたことに驚きながら雅とニルは素早く振り返ると声の主に対して警戒態勢を取った。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ」
屈託のない笑顔を見せる声の主は警戒する二人を愉しそうに見つめていた。
黒髪のお下げ髪に黒目の大きな瞳、白と赤の巫女服姿で身長は浩介の腰までしかない完全なる幼女の風貌である。
「子供……その格好は巫女さん?」
その姿に浩介は首を傾げた。
彼の様子は周囲から見れば落ち着いているように見えるかもしれないが、それはただ単に驚きすぎて対応できなかっただけだった。
そんな彼らの中で一人だけ冷たい視線を向け「…あぁ、あいつの」と聞き覚えのある声をした巫女服姿の幼女を冷たく見つめる。
「ちらべはついてましゅ。」
いきなりの幼児言葉に皐月以外は目が点になる。
「さっきは普通に喋ってたよな?なんで、急にそんな言葉使いなるんだ?」
幼児が口角を上げニヤリと笑う。
してやったりの表情に一瞬、寒気が走った。
とてもじゃないが幼児の笑みではない。
「だってぇ、その方がらしいでしょ」
普通の言葉使いでお辞儀をしながら皐月を見つめる幼女に雅は怯えながらニルの背後に隠れる。
「…はぁ、馬鹿やってないでとりあえず、普通に喋りなさい。それで?今の状況を教えてくれる?」
幼女から表情が消え皐月に敬意を払うように跪くと頭を垂れる。
「…御意。皆様の探し人の所在ですが、先ほど統治者の命により幽閉されました。どうやら、統治者の機嫌を損ねたらしくシグルス様、今はそう名乗られておられますが彼がお嬢様の探し人に間違いないと思われます」
どうやら少し遅かったようだ。
ただ、幽閉ならばまだ可能性がある。
俯きながら思案を巡らし考え込む皐月の姿を横目に他の面々は奇異の目で幼女を見つめていた。
「…なぁ?」
代表して浩介が皐月に質問する。
「なに?」
「この娘、だれ?」
ニルと雅も浩介の質問にコクコクと頷いている。
「この娘?あぁ、中心の世界の斥候で猫獣人のミア・マクシエルよ」
説明しながら皐月はおもむろに幼女の頭を掴み、ガシガシと撫でると可愛らしいネコ耳がピョコンと顔を覗かせた。
「わっ!?や、止めて下さい。擬人化が解けてしまいます」
慌てて皐月の手を解こうとするたびにネコ耳がピクピクと動く姿に雅の瞳がキラキラと輝き始める。
「妾も触りたいのじゃ!」
じりじりと躙り寄ってくる雅にミアの瞳が恐怖の色へと変わっていく。
「わ、わたしも出来れば是非!」
胸元で祈るように両手を組みながら、ニルも自制が効かなくなったのかネコ耳をウルウルとした瞳で見つめている。
可愛いはそれだけで罪だった。
両手をワサワサと揉みながら満面の笑みを浮かべて近付いてくる雅とニルに皐月は仕方なそうにミアを二人に引き渡す。
「えっ?えっ?……や、止めて下さい!あっ、そこはダメ!汚されるぅ!やだぁ~!」
ミアの叫びも虚しく二人に揉みくちゃにされる。
「触り心地が良いのじゃ!」
「ホントにこの揉み心地、癒やされますね~」
容赦なくネコ耳を触る二人にミアは涙目で必死に抵抗する。
ボンッ!
突如、白い煙がミアの身体から湧き上がり擬人化が解けてしまい、本来の姿に戻ってしまった。
「…あぁ~!?戻ってしまいました」
その姿は正に……猫であった。
巫女服を着た二足歩行のその姿はふわふわの真っ白な毛並みに覆われ、いつの間にかお尻から同じ毛色の可愛らしい尻尾がピョンと飛び出していた。
尻尾は微かに震え項垂れている。
「巫女服を着た猫……だな」
浩介はミアの姿に童話の世界の主人公の姿と重なり、思わず呟いてしまった。
「可愛いのじゃ!」
瞳をさらに輝かせる雅。
「持って帰りたい……」
ガシッとミアを抱きしめ頬擦りする二アに、皐月は呆れ顔を浮かべながら話を進める。
「…っで、そのシグルスと名乗ってる馬鹿は何処に幽閉されてるの?」
二人に揉みくちゃにされ「あっ!だめ!そこ弱いのぉ~」などと淫靡な声を出しながらも主である皐月の問いになんとか応えようとする。
「地下にある…うっ、結界が、あっ、うぅ~、施されている部屋に幽閉されて……もう、だめぇ~」
ヘナヘナと力無く床に座り込みぐったりとする。
「二人とも、そろそろ止めてあげなよ」
二人を浩介はミアから引き離した。
「まだ、触り足りないのじゃ……」
「ええ、同感です」
名残惜しそうにミアを見つめる二人の姿はまるで姉妹のようにソックリで思わず苦笑してしまう。
「なんだか二人とも似てきたな……」
「…全くだわ。それよりミア、あんたその場所まで案内できる?間違いないと思うけど一応、確認しておきたいから」
頬を赤らめ、肩で息をしながら放心状態だったミアが皐月の声に「…はっ!?私は何を?」と我に返り姿勢を正す。
すぐに幼女の姿に戻り再び跪いて頭を垂れた。
「ぎょ、御意。ご案内いたしますが……ただ」
ミアはチラッと雅とニルに視線を向ける。
二人と視線が合うとビクッと肩を震わせる。
ピョコン。
幼女の頭にネコ耳が姿を現す。
「あぅ、あぅ……」
泣きそうになりながら両手でネコ耳を必死に隠すミアに皐月は額に手を当て小さく溜息をついて二人に声をかける。
「……二人ともミアに近づくの禁止ね」
「あんまりなのじゃ…」
「ですね、雅様…」
冷たく言い渡された言葉に二人はこの世の終わりのような表情でガックリと項垂れるのだった。
*
チラチラと後ろを振り返りながら先頭を歩くミアは時折、頭に手を当てて耳が出ていないか確認しながら案内していた。
常闇の世界に潜入してここまで不安になったのは初めてのような気がした。
どの世界でも怪しまれずに溶け込める自信があったのだが、あの二人に会ってその自信もかなり揺らいできている。
「…はぁ、自信がなくなります」
項垂れながら歩く。
「ごめんな、えっとミアちゃんだっけ?」
頭を掻きながら声をかけてくる浩介にさらにミアの自尊心が抉られ項垂れてしまう。
「…ミアで結構です。こんな姿ですが、ちゃん付けされる年でもありませんから……」
自虐気味に答えるミアに浩介は苦笑いする。
「じゃあ、俺のことは浩介でいいから」
浩介と名乗った若者にふと違和感を感じた。
「はい、浩介様……ところで浩介様は何故、お嬢様達とご一緒におられるのですか?見たところ、お嬢様の護衛のようにも見えないのですが?」
武器らしい装備といえば左手薬指に填めた指輪ぐらいで浩介自身は武力とは縁遠い存在に見えた。
どちらかといえば技官や文官が似合いそうだ。
けれど、彼の雰囲気はどれにも当てはまらない。
長年の経験がミアにそう告げていたのだ。
「…あいつは帝の意志を継ぐ者よ」
皐月がミアの疑問にあっさりと答えた。
「えっ…」
聞き間違えたのかと思ったが皐月の表情が面白くなさそうにしていたので聞き間違いではないと確信しミアは茫然とする。
「神器に受け入れられたのですか!?」
小さく頷く浩介に思わず歩みを止め、驚いた表情でミアは彼を見つめた。
「ということは……帝様…なのですか?」
今度は皐月が残念そうに頷く。
ミアの表情がみるみる蒼白になっていく。
「あわ、あわ、み、みかど?さま?」
ミアの唇がワナワナと震えて言葉にならない。
その様子に苦笑しながら浩介は少し考え込んだ。
「う~ん、難しいな。帝といってもグレンデルの人格しか得ていないから俺としては違う気もするんだけどね」
けれど、神器に認められた存在は限りなく帝に近い存在でありミアは浩介に思わず跪き頭を垂れた。
本能がそうさせてたのだ。
「数々のご無礼、お許し下さい」
ガタガタと震えながら跪くミアに浩介は困った表情を浮かべ、どうすればいいのか分からず皐月に助けを求める。
「ミア、こいつはグレンデルの意志に認められただけのただの変態だから謝る必要は無いわよ」
「…で、ですが、皐月お嬢様」
まだ何か言いたそうな表情に皐月の表情が曇り、肩がプルプルと震え出す。
いつものパターンの前触れに気が付いた三人は彼女から離れるように後退りを始める。
「あぁ?わたしが良いって言ってんでしょ!」
堪えきれず皐月の巻き舌が炸裂する。
どうやら我慢の限界のようだった。
「っ??お、お嬢様?」
突然の変貌にミアは動揺を隠しきれない。
安全圏に避難をしていた三人はそれぞれの感情で皐月とミアを見つめていた。
「…やっぱり、キレたかぁ」
頭を抱える浩介。
「…いつものことじゃ」
ニルの背後に隠れながらミアを憐れむ雅。
「ですね」
呆れるニル。
ジャラジャラ。
聞き慣れたいつもの音がミアに迫っていく。
「いいから、馬鹿の所に案内しなさぁい!!」
ジャラジャラ、ガチャン。
跪くミアの身体を鎖が縛り付ける。
「ぐぇっ!?はっ、はいっ~!」
嗚咽と涙でグショグショの顔で勢い良く立ち上がるとミアは足早にシグルスの元へと駆けて行くのだった。
呼んでいただきありがとうございます
ブクマ、評価ありがとうございます
(*´ω`*)
なかなか、連チャンで更新できませんが
最後まで書いていきますので見捨てないで頂けれは幸いです
今後もよろしくお願いします。




