其の14 精霊界からの使者
やっぱりシリアスはキツかったです。
直ぐに挫折しました。
ただ徐々に浩介が………。
お楽しみ下さい。
行くと決断してしまうと浩介達の行動は早かった。
直ぐに身支度を調えた面々は屋敷内の地下へと続く階段を皐月を先頭にして降りていく。
辿り着いた先には白い扉があり、その表面には皐月の紋章が淡い光を放ちながら輝いていた。
「この扉の先にエルフ界と繋がった空間を形成していて今はエルズの執務室の扉に調整されているから……みんな、行くわよ」
皐月は扉のノブを握り浩介達に声をかける。
皆がそれぞれ決意の込もった瞳で頷くと皐月は扉のノブを捻り勢いよく扉を開いた。
「……あっ!?」
思わず皐月は間抜けな声を出す。
室内ではエルズが着替えてる最中で固まっていた。
半裸状態で下着を身に着けようとしていたエルズが固まり、皐月は瞳を瞬かせ思わず立ち尽くし室内にいた彼女と目が合った。
「……えっ?もう、着いたの?はやくな……」
最後まで聞かずに皐月は
バタンッ!
取りあえず扉を閉めた。
「……うん?どうした?行かないのか?」
直ぐ後ろにいた浩介には室内の様子が見えなかったが彼の腕にしがみついていた雅にはバッチリと見えていたようだった。
「……やっぱりナイスバディじゃったな」
雅の言葉にハッと皐月は我に返る。
「あんの~ば~かぁ!こっちが急いで準備してきたっていうのに何、悠長に着替えなんかしてるのよ!」
怒りに任せて扉を蹴りつける皐月の発した言葉の端々を浩介は決して聞き逃さなかった。
「…きがえ?エルズの?………よし、俺が行こう!」
皐月の肩に手を当て扉から引き離すと浩介は躊躇なくノブを握り扉を開こうとした瞬間。
ゴンッ!
皐月の右ストレートが浩介の顎に綺麗に決まる。
「馬鹿か?この変態!」
額に青筋を立てながら怒鳴り散らす皐月に一番奥にいたニルは胃の痛みを感じ深いため息混じりに女中から貰った胃薬を取り出し飲み始める。
最近の浩介は節操が無くなり始めている。
「入っていいわよ……ってか、何で倒れてるのかは詮索しないであげるけど……あなた命拾いしたわね。」
エルズの方から扉が開き、床で痙攣する浩介を冷たい瞳で見下ろしながら皐月達を中へと招き入れる。
「何時まで寝てるの!行くわよ」
いつものように鎖を取り出し、これまたいつものように身体を縛り付けると引きずりながら部屋へと入っていく。
執務室と呼ばれるだけあり壁一面には天井まで届く資料の数々を納めた本棚が並び、広々とした空間には来客用のテーブルとソファ、そして窓際に陣取るようぬ執務机が備えられていた。
「そこに座っていてもらえるかしら。もうすぐ精霊界からの使者がやってくるはずだから」
来客用のソファにそれぞれが座る。
もちろん、浩介は床で正座である。
殴られた顎を痛そうに擦りながら浩介はエルズの姿を盗み見て「……視たかった」と心の中で悔やむ。
ただ、今のエルズの服装はノースリーブの白地のシャツに淡い緑色のパンツ姿でそれはそれで浩介の目を楽しませているので彼の表情は満足げではあった。
「うん、これはこれで満足だ」
思わず口に出してしまい思い切り皐月に睨まれる。
「あ、い、いや、そのなんだ。エルズ様に質問があるんだがいいかな?」
何とか誤魔化そうとエルズに問いかけるが勿論、様を付けるのは忘れない浩介だった。
エルズは露骨に眉間に皺を寄せ警告してくる。
「質問によるわね。それ次第では………お仕置きね」
いつの間にかエルズの手には黒革の鞭が握られていた。
「…どこからそんな物騒なモン出したんだ」
ピシッ、ピシッ
両手で引っ張りながら鞭の感触を確かめるエルズを見つめながら浩介は思わず生唾を飲み込む。
「あの撓わに実った胸の谷間からじゃったぞ、主殿」
エルズの胸を指差しながら雅が答えた。
「なにぃ~!見過ごしたぁ……あっ、いや御免なさい。取り乱しました」
皐月とエルズのツートップのジト目に即座に謝罪する。
「っで?質問はなんなのかしら?」
執務机に腰掛けながら浩介を見つめる。
「おぉ!エロ……うん、いい加減に学習します。その、質問ってのは精霊界からの使者はどうやって来るかなんだ?皐月がまた空間を繋いでやるのか?」
その質問にエルズは「ふぅ~ん」と意味ありげに微笑みながら満足げに頷く。
「まぁ、馬鹿ではないみたいねぇ。あなたの帝の意志を継ぐ者さんは……そうねぇ、彼女たちは霊体に近い存在だから世界の縛りを受けることはないわ。まぁ、彼女達の世界と多重世界とを繋げば違うのでしょうけどね」
つまり、精霊達にとっては多重世界であろうと異世界であろうと行き来する際には霊体で移動するため関係ないということらしい。
〔まあ、そういうことですね〕
意識に直接語りかけてくる幼さの残る声が聞こえた。
その声は雅とは異なるもので全員に届いているらしく皆はキョロキョロと声の主を探し周囲を見渡している。
突如、エルズと来客用のソファとの間に目映い光が立ち上り、その中から一人の可愛らしい少女が姿を現した。
〔すみません、お待たせしてしまいましたか?〕
全員の視線を一身に受けて恥ずかしそうに頬を赤らめながら少女は小さく頭を下げた。
少女の姿は真っ白なフリルの着いたゴシック調の服装で若干一名「ゴスロリきたぁ~!」と心の中で叫びながらガッツポーズをしたのは云うまでもなかった。
読んでいただきありがとう御座います
今後とも宜しくお願いします。




