32「100ポイントも無理ゲー」
「さあやってまいりました第一回描写力コンテスト」
もう、これコンテストの意味無くね?
「30万文字描写出来れば、貴方の描写力は少しはあることになりますよ」
30万文字は厳しいが、やろうと思えばいくらでも出来るぞ。
「ではその間に100ポイント目指しましょう!」
まあた。無理ゲーか。
「ですが、貴方の小説の中には98ポイントのものもあるじゃないですか」
あれはタイトルとあらすじが良くて、たまたま面白かったからそこまで貰えたのであって。
「面白い描写で読者を惹きつけて欲しいところ」
もう十分やったんだが。
「え?」
え? じゃねえよおお!!
今まで頑張って描写してきたんだぞお。
あそこまで描写して100ポイントの半分の50ポイントもいかないんじゃ、100ポイント達成はほぼ不可能だよ!
「なら、それが貴方の今の実力ってことじゃないですか?」
あっいい方法思いついた。
「不正したら消されますよ」
チッ、ばれたか。
まあ別に不正をする気はないさ、そんなんでポイント貰っても嬉しくないしね。
「さすがアダム選手! そこだけは小説家らしい!!」
褒めてんのか貶してんのかよく分からない言葉だな。
まあいい。ストーリーのほう。続けるぞ。
――ラッド視点。
「ん?」
「目を覚ましましたか」
見覚えのある天井。ここは宿屋の中か?
声がしたほうを向く。
そこにはアダムがいた。
「僕は……生きてるのか!」
「ええ、生きてます! 優勝です! おめでとうございます!! 本当に良かったあ」
アダムは少し涙汲んで嬉しい表情を僕に見せた。
「あの時の状況を教えてくれ」
「分かりました」
アダムは説明してくれた。
僕が倒れた後、ホープという黒いローブに身を隠した冒険者はローブだけ残して消えたこと。
それで結果僕が優勝したこと。
でも僕が倒れていたので、表彰式は無しになったことなど。
あの男は一体何を考えてる?
僕を殺そうと思えば出来たはず。
最後の言葉も引っかかるし。
「表彰式はないですが、ギルドに行けば賞金とギルドポイントを貰えますよ!」
とりあえず、僕は無事コロシアムで優勝を果たしたのだ。
今は、素直に喜びたいと思う。
――アダム視点。
私たちはギルドにたどり着いた。
早速コロシアムの件について受付をしに行く。
「ラッドです」
「コロシアムに優勝したラッド様ですね。ギルドカードを」
「はい」
受付嬢はラッドのギルドカードを受け取ると、忙しく動き、また元の位置に戻ってきた。
「賞金の1000万Gと1000万ギルドポイントと他の冒険者のギルドポイントです」
ラッドは報酬を受け取ると受付嬢に礼をして、私のところへ来た。
「どうです? どれくらい順位が上がりました?」
私は早速、気になる質問をしてみた。
「51位ぐらい上がったね。現在45位だ」
45位。普通に考えればなんてことない順位だが、万単位といる冒険者の中でこの順位だ。
普通にすごいと思う。
そういえば。
「あのう」
「なんだい?」
「その本、見せてもらってもいいですか?」
「ああ、これか、別に構わないよ」
私はラッドに頼んで”神の殺し方”という本を借りた。
早速、読んでみる。
「……!?」
何だ? 錯覚か?
その本の中には何も文字が書かれていなかった。
「驚いている様子だね。まあ無理もないか」
ラッドが話しかけてきた。
「これ、文字書かれてないんですが」
「書かれてるんだよ。最も、僕しか読めない仕組みになってる」
一体どういうことなのだろう?
「この本をどこで入手したんですか?」
「古い図書館だったな。欲しいとねだったら図書委員の方がくれたよ」
「この本にはどういった内容が書かれているんです」
私は気になる質問をどんどんぶつけた。
「実は僕にも全て読めるわけじゃないんだ。この本は新しく文字が追加される仕組みになっていてね」
この本は何なんだ?
ラッドにしか読めず、新しく文字が追加される!?
謎としかいいようがない。
「さてと、もういいよね?」
「あ、はい。ありがとうございました」
私はラッドに本を返した。
「さて、賞金も手に入ったし、ちょっと雑貨屋に寄らないか?」
私はラッドと共に雑貨屋へ向かうことになった。
ふう。
「描写お疲れ様です」
どうだい? 今回の俺の描写の感想は
「新しくラッド視点が追加されているのが面白かったですね。読者の皆様もラッドに少しは感情移入出来てるんじゃないでしょうか?」
だといいんだが。
さて、これからの描写だが。
「どういった展開にするご予定で?」
考え中。
「その発言今回で二度目ですよ」
まあ、安心しろ、意地でも足りない頭で考えて文字追加するから。
「この先が心配です」
あと200文字。あらすじでも書いてみるか。
無事コロシアムを制覇することが出来たアダム一行。
このコロシアムで順位を51位も上げたラッド。
賞金も手に入り、これから雑貨屋へ向かう。
そこでアダムは衝撃的なものを見ることになる。
どうよ?
「衝撃的なものってなんですか?」
これからのお楽しみよ。
それよりもう終わるぞ。
「皆さんまた次もよ




