やっぱ男ってサイテーだわ
「…………」
誰一人、返事を返す人はいなかった。
アレク先生は大胆にも、この集まりの中で“システム”という言葉を出してきた。
一刻の静寂の後に、生徒の間でも先生の間でもどういう意味だというざわめきが広がり始める。
「……一体どういうことだ?」
フューリーはあたし達が何か知っているのだろうと思ってひそひそと話しかけて来たけど、生憎あたしたちも分かんにゃいんだよね。
「あたし達にもさっぱり」
「システム……ねぇ」
マコトが知っていそうなそぶりでそれとなく喋った瞬間、周りの視線が一斉に集まる。
「えっ!? 何で皆一斉に僕を見るの!?」
「あんた、知っているなら喋りなさいよ!」
「知る訳無いじゃないか! 僕はそれっぽくかっこよく呟いただけで――」
この後マコトは【電磁】=【直行】できれいに処分されました。っとそれは置いておいて――
「……もしかして、本当に誰も知らなさそうな雰囲気?」
「システムってまず聞いたこともねぇし……」
あたしが元いた世界では、普通に機械系の言葉で聞いたことがあるけど……この世界って確か英語に聞き覚えがないんだっけ? だったら無いかもしれないにゃー。
「……誰も知らないか。ならば今後の学園生活や外での活動にてこの言葉を耳にしたなら、この私の所へ来るように。私からは以上だ」
妙な緊張感が部屋全体を覆う中、アレク先生の次に現れたのはマルガ先生だった。
「おっほん! 次は私から話をさせてもらおう。最近学校に、妙なものを持ち込んでいる者がいるとかいないとか……」
妙なものって、なんだろ。さっきのシステム関連なのかにゃ?
「具体的な物としてはここで発表できないが、我々は諸君を監視している。下手な考えを持ち込んだりしないように!」
マルガ先生は最後は少し怒りが混ざった声で生徒の前で警告をする。ここでは言えないっていうけど、少なくともシステム関連ではないのかにゃ?
「一体何でしょうか?」
「分からない。だけどあたし達も用心しないと」
あたし達がそう言って顔を合わせている姿をみて、フューリーは苦笑を浮かべながらそこまで警戒する必要はないことを伝える。
「あー、あのな、そこまで警戒する内容じゃないんだよ実は」
「どういうこと?」
そういえば気がつかなかったけど、さっきまで元気だったマコトが沈んでいる。どうやらフューリーの話はコレに関連しているみたい。
「ちゃんと教えてくれない?」
「いや、知る必要までは無い位に警戒する必要が無いものだから――」
「ちゃんと言って!」
ここだけの話、あたしはフューリーの目の泳ぎ方からしてどういう経緯なのかをなんとなく予想できる。
その証拠にあたしがちゃんと言ってと怒ったのに対し、フューリーはますます参ったといった様子で頭を掻いている。
「……そのだな、男にしか効果がない魔導書だからお前等には意味がない――」
「どうして男だけなの?」
「で、あっ、だから、その……」
「……フューリーはあたしのこと信用してないの?」
極めつけに嘘の涙を流せば、フューリーの立つ瀬は無くなってしまう。
「ぐ……あーもうわかったよ! 言えばいいんだろ! だけど絶対に引くなよ!」
絶対に引くわ、あたし。
「……の本だよ」
「何の?」
「マコトがエロ本持ち込んだのがばれてんだよ! そのほかにも先輩たちに売りつけていやがったからよ!」
はぁ、やっぱりそうだ。まあこれでフューリーを弄れたしいっか。
オマケにルヴィは顔を真っ赤にして可愛いし。
ハッ! っていうか、アリスはエロ本を読んだの!? 読んでないの!? そこが一番気になるところだよ!




