あれから一週間!!
「うーん、どうしたものか……」
「なにをそう唸っているのだ?」
「いやいや、以前に転生させたあいつだが、システムという言葉を耳にしちまったからよ……」
「それはそれは……確か、お前が管理している世界だったか?」
「そうだけどよ……」
「やはり、お前が片を付けるべきだな」
「そうだよな?」
「ああ。そうだ」
「…………神ってやつも楽じゃねぇなぁ……」
◆◆◆
「――ねぇねぇルヴィ! この魔導方程式凄くない!?」
「見せてください……確かに、これは……ですが第十階層なんて、薫さんくらいしか扱えないのでは?」
《悪魔の右腕》の騒動から、丁度一週間がたった。それでもってあたしとルヴィは今、魔導学院の図書館で新しく使えそうな呪文探しをしていた。
もちろんこの前の一件を踏まえて、あたしはルヴィにも使えそうな呪文を探して机に本を山積みにしている。
今のところ、ルヴィがロッド家だということで怪しまれる事も無い。学校に突撃して来たときも、ルヴィの名前を呼ばれたことは先生同士でもみ消してくれたし。それとクロウン先輩はというと、同じ七曜の魔法家の苦労を知ってか黙っててくれるみたい。
「まぁねー。けどルヴィって水曜の魔導方程式が得意なんでしょ?」
「ええ、そうですけど……これは……」
「大丈夫だって! ここの魔法陣の解析をこうして、この先にある魔法陣につなげれば――」
「なるほど! それで簡略化できるということですね!」
ルヴィは解けないと思っていた第十階層の呪文が解けたことがうれしかったみたいで、満面の笑みを浮かべている。
だけどルヴィ、ちょっと声が大きすぎるかにゃー。ほら、周りの生徒から注目集めちゃっているし……。
「……それで、この呪文に繋げられる補助式は――」
「カオル=トウジョーはいるか?」
静かだった図書室に、男の人の声が響き渡る。その声はあたしが良く知っている声で、あたしは渋々木曜の魔導方程式の風で本棚に本をなおしながら、その声のする方へと向かって歩き始める。
「……呼びましたかー? ヴィンセント先輩」
「やはりいたか。ルヴィ、お前もか」
「はい……」
おっと、忘れてた。ヴィンセント先輩も知ってて黙ってくれているんだっけ? あとフューリーも。
「二人ともついてこい」
あたしとルヴィは言われるがまま、ヴィンセント先輩の後をついて図書室を出ていくことになった。
◆◆◆
「――大体のところは予想できているだろう」
「まあ、大体は、ね」
あたしの予想通り、ヴィンセント先輩は誰もいない生徒会室へとあたし達二人を招き入れた。クロウン先輩もロキ先輩も今回いないみたいで、文字通り三人だけの生徒会室だ。
「例の一件、《悪魔の右腕》について深く掘り下げて行った結果、こんなものが出てきやがった」
ヴィンセント先輩はそう言って机の引き出しから一枚の羊皮紙を取り出す。
「この魔導方程式……魔法陣に見覚えはないか?」
羊皮紙にかかれているのはいたってオーソドックスな二次元円形魔法陣。だけど、見た感じ何かを表しているような呪文の部分や、補助式の部分が見つからない。
唯一気がかりな所といったら――
「……この魔法陣、あたし達側が正の向きですよね?」
「ああ。逆向きにはおいていない」
だったら“栄光”を表す三角形みたいな魔法陣が、どうして逆さになったいるのかにゃー?
「栄光の反対……衰退かにゃ?」
「分からん。ただ言えるのは、この魔導方程式を解析したら何かマズいもんが潜んでいるかもしれねぇってこった」
詳細を聞いたところ、これはあのルヴィのお母さんが潜んでいた地下施設の跡から発見したもので、崩れた岩盤の一部を回収して修復したら、こんなものが描かれていたとか。
あれー? あたしのせいで面倒なことになってる?
「そ、それで、どうしてあたしに?」
「てめぇなら分かるかもしれねぇと、あの爺が言ってたからよ」
アレク先生か……生憎分かんないっす。
「そしてこの魔導方程式の近くにはこう言う走り書きが残っていた」
“システムに祝福あれ”と――
「――怖いにゃー」
「少し、不気味ですね……」
「この《システム》ってやつが、最終的に裏を引いているに違いねぇ。だがそれが何を指しているのか、今の俺には分からん。とにかく、気を付けることだ」
「はーい」
話はそれだけだったみたいで、あたしはルヴィを連れて生徒会室を後にする。
「……システムの崩壊は、世界の崩壊に値する……」
「にゃ? ヴィンセント先輩なんか言った?」
「あぁ? 何がだ?」
「? 何でもないならいいです?」
「……変な奴だ」




