そろそろ大詰めかにゃー?
うーん、どうしたものか。
「ウクククク……どうした? かかってこないのか?」
敵はあたしを挑発するかのようにわざと苛立たせるような言い方をしているけど、明らかに今までの奴等とは違う気がするんだよね。にゃーんか対策練っていそうな気がする。
「お前達は下がっていろ。ここは私が――」
「大丈夫ですよせんせー! あたしがやっつけますから!」
腕をぶんぶんと振りまわし、あたしは倉庫を照らす照明の下、敵の前へと歩み寄っていく。
なんだか怪しいけど、ひとまず様子をうかがうとしよう、
「【電磁】=【直行】!」
ひとまず普通の人にとって限界の十二階層を撃ってみて、あたしは相手の出方をうかがう事にした。
一直線に光のビームが突き進む中、敵は一切よけようという仕草を取ろうとしない。
「……んん?」
ニカラ=オムルエンデと名乗る男は【電磁】=【直行】に対し、右手を向けるだけ。
「――【暗黒】=【孔】!!」
「えっ!?」
右手にブラックホールが発生したんですけど!?
「ウクハハハハ!」
あたしお得意の【電磁】=【直行】は、いとも簡単にその闇の穴へと吸い込まれ、無力化されてしまった。
「……うーん」
「どうだ!? そこの中途半端な軍人崩れと違って、吾輩は本物の月曜を知っている!!」
「……これは困ったにゃー」
あたしの困ったという言葉に対し、敵は更に増長して調子に乗り始める。
「ウクククク、もう負けを認めるとは、案外期待はずれなものだ――」
「これから上の階層ってなると、手加減できなくなるんだよにゃー」
「えっ――」
あたしは有無を言わさず、次の魔導方程式の構築を開始する。
「うーん、あんまし強い方程式組むなっていわれちゃっているけど、【電磁】=【直行】が破られちゃったならこっち出すしかないじゃん」
文句ならあたしじゃなくて、敵に言ってくださいねー。
「【光速】=【消失】!」
かーらーのー!
「【雷光】=【絶撃】ッ!!」
一瞬で距離を詰め、敵が対応する間も無く雷を叩きつける。
倉庫の照明が稲妻の衝撃で割れ落ちていく中、あたしは文字通り一瞬でカタを付ける。
「おーわりっと!」
ちょろいちょろい! 流石十六階層! そして――
「門番を倒したってことは、地下に行ってオッケーってことだよね!」
丁度ニカラとかいう男を消し炭にしたおまけとして床に巨大な穴が空き、そこから地下通路を覗き見ることが出来る。
「それじゃ、そろそろ敵大将のお顔でも見させてもらおうかにゃう!」




