それってどういう事かにゃー?
「……い、意外とタフだねー」
「クククク……代償が少ないとでも言いたいのか、化け物め」
【暗黒】=【直行】と【電磁】=【直行】。どっちも共に第十二階層という普通ならありえないレベルの魔導方程式がぶつかりあった。
しかし相手の魔素の出力がわずかにあたしを下回っていた様で、その証拠として男の左腕が吹き飛んで無くなっていた。
「ガハッ! ハァ……まさか初撃で左腕を失うことになるとはな……思っていた以上だ」
「……正直そこまでやるとは思っていなかったけど、やるねー」
「ククク……敵から褒め言葉を貰うとはな」
男は無くなった左腕を押さえつつ、皮肉を交えてあたしを笑う。あたしとしては、一瞬で消し飛ばして、グロいのを見ずにすませたかったんだけどにゃー。
「さて、と。ここまでやっといてどうする? 今なら、あんたも死なずに済むと思うけど?」
「笑わせるわ……小娘が!」
男は右手をポケットにつっこんで更に魔原石を取り出すと、三度口の中に入れてこう叫んだ。
「【鋼鉄】=【錬金】=【腕】!!」
彼の左腕に魔法陣が現れ、そこから鋼鉄の義手が生成される。
「元軍人の俺がこのような痛みに屈するとでも思ったか、小娘が……考えが甘い 甘いんだよ! 【鋼鉄】=【錬金】=【蛇】!!」
鋼鉄の義手は更に巨大な蛇のように形を変えると、あたしの方へと真っ直ぐと打ち抜くように伸びてきた。
「うええっ!? 【光速】=【消失】!!」
あたしは何度も光となって回避するが、鋼鉄の蛇はあたしの後を追うように建物の壁を破壊して突き進んでくる。
「ちょっとあんた! 建物壊すとか器物損壊なんだけど!?」
「笑わせる……ここはガウンタウン! 司法などあるはずもない! 強い者が法なのだ!」
それにしても、あいつさっきから魔原石取り過ぎ! あたしが今まで会った中で、これだけ馬鹿みたいに魔導方程式ぶっ放してくるやつ見たことないんだけど!?
っと、あたしったら自分の事を棚に置いて何いってんだか。
そんなことを考えながら逃げ続けるにつれ、鋼鉄の蛇の胴体があたしの行く手を阻んでゆき、徐々に徐々にとあたしの逃げ場を狭めていく。
「チェックメイトだ小娘! このジャック=オーズナーの名において死をくれてやる!!」
「……ジャック…オーズナー……?」
鋼鉄の隙間から一瞬、ルヴィが男の名前を聞いて目を丸くする光景を見ることが出来た。
だけどそれもすぐに鋼鉄の蛇によってさえぎられ、あたしの目の前には大きな牙が突き立てられる。
「どうしよう、逃げられない!? ならばこうするしかないよね!!」
あたしは宙に浮いた状態で魔導方程式を最速で解き、右手に強烈な電気を纏わせる。やっぱり最後に頼れるのはこの魔導方程式だね。
「【雷光】=【絶撃】!!」
落雷のような電気を直撃させ、金属の塊を瓦解させる。あたしはヴィンセント先輩の時よりもより強く、より大きな電気を右手に纏わせてぶつける。
「なっ――」
落雷はそのままジャックと名乗った男の身体を貫き、ジャックはその焦げた体を地面に放り投げるかのようにして、地に伏した。
「――っと、ギリギリ生きてる?」
「……ジャック……何故……」
そうだそうだ、ルヴィに聞かないと。
あたしは茫然としているルヴィに対し、いかにも知ってそうなその態度に問いかける。
「ルヴィ、もしかしてこの人を知っているの?」
「え、ええ……」
「どういう人?」
「……この方は……ロッド家の元直属の護衛です」
「……えぇっ!?」
どういうこと!? なんで《悪魔の右腕》にルヴィの家の人がいるの!?




