あーもう、じれったいから消し飛んじゃえ!
「次いってみよー!」
【電磁】=【直行】を一発一発撃つごとに、敵の数が減っていく。流石に六頭の馬じゃ足りなかったんじゃない?
「さーて、最後の一人いっちゃいますか!」
「ったく、てめぇの魔導器官はどうなってやがんだよ……」
そんなの知ったこっちゃねーぜ! ラストいっぱーつ!
「【電磁】=【直行】!!」
今までよりも規模を大きくした光のレーザーで最後の一頭を撃ちぬき、あたしはガッツポーズと共にヴィンセント先輩の方を振り向く。
「終わったー!」
「十四階層を封印してもこれか……頭が痛くなってきた」
いやー、だって十二階層なんてその気になれば暗算できるくらい余裕ですし。
「まあ敵を片付けたから良しとして置くか……戻るぞ」
「はい!」
そう言ってヴィンセント先輩が屋根からから降りようとした途端、あたし達の後ろの車両から爆発音が聞こえる。
「陽動だったか!」
えぇー!?
「先輩どうします!?」
「どうするもこうするも、屋根伝いに走って向かうぞ!」
それって大丈夫なんですかー!?
◆◆◆
どうやら最後尾の車両に敵は無賃乗車してきたみたいで、長銃片手になんか喚いている。
「さてさてー、この中に魔導師の方はいらっしゃいませんかー? いるのであれば速やかに出て来てもらいましょうか。なあに、我々は貴方がたの魔導器官だけが目的ですから、大人しく出てくるのであれば痛い目にはあいませんよ?」
顔に傷を負った男の人が、銃を片手に脅して回ってるみたい。アタシとヴィンセント先輩はひとまず屋根の影に隠れて様子をうかがってみることに。
「……んー? 誰も名乗り出ない……おかしいですねー? 国家資格がなくても、これだけ乗客がいるなら一人くらいは魔導師が乗っていてもおかしくはないと思いますけど?」
男の言葉に対し、列車の乗客は誰一人答えず怯えるばかり。
「……本当にいないのか……いないんだったら死ねよゴミ虫ども。生きている価値など無い」
男はそう言って長銃を適当な客の額に当てて引き金を引こうとしたが――
「ちょっと待ったぁ!」
「ッ!?」
えっと、こっちに銃口はむけなくていいです。
「その人を撃つ前に、あたし達の相手をしてもらいましょ!」
「誰だお前達は!?」
「てめぇに名乗るななんてねぇよ。俺達は唯の――」
「この東条薫様が、あんた達をとっちめてやる!」
「おい!」
「トウジョー? ……ああ、レールが言っていた深層の魔導方程式を何度もぶっ放すバケモノとはこいつか……」
失敬な! 化け物じゃないもん!
「とにかく、あんたなんてものの五秒でぶっとばしてやるから!」
あたしが自信満々にそういうと、相手の男はあたしを馬鹿にしているのか目の前で笑い始めた。
「ククククク、ハハハハハ! これは傑作だ――」
「ゼロ距離【電磁】=【直行】!!」
イラッときてしまったあたしは、その男に問答無用【電磁】=【直行】をぶつけて消し飛ばす。
「さぁて、次にぶっとばされたいのは誰だ!?」




