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はい、敵を倒す前に仲直り!

「一年生は軍基地に戻りこの事を伝えよ! 私がここでくい止める!」

「だったらあたしも残る!」

「ダメだ!」

「どうして!?」


 あたしはあくまでキリュウ先輩に加勢するためにそういったつもりだったんだけど、キリュウ先輩には別の考えがあったみたい。


「トウジョー、お前は他の一年生と比べて強いのだろう。ならば友達を守ってくれ!」


 それは自分の事よりも後輩のことを、そしてあたしのことを思ってくれての言葉だった。

 キリュウ先輩はそこから目もくれずにただ目の前に現れた強敵と相対し、足止めをしようと土曜の魔導方程式を解き始めている。


「クナシダの名に懸けて、ここは絶対に通さん!」

「あらあら、随分と必死なようだけど大丈夫? もしかしてそこにいる少女がルヴィ=ロッドだったりするのかしら」

「なんだと!?」


 ロッドの名を聞いたとたんに反応を返してしまったのは、フューリーだった。あたしはその時にすぐさまフューリーの腕を引っ張り、そしてルヴィと手を繋いでその場から一瞬で撤退することを決める。


「【光速ソニック】=【消失バニシング】で逃げるから、しっかりつかまって!」

「おい、それよりも――」

「いいから!!」


 今はフューリーに詮索させている暇なんてない。とにかく逃げるしかない。


「――【光速ソニック】=【消失バニシング】!!」


 あたしは二人を引きつれ、一瞬でその場から身を消す。


「あらウソでしょ? あの眼鏡の女の子、十四階層の魔導方程式なんて使えるの? まさか魔原石エリクシアも無しに……そうだとすると、あの子も大概欲しくなってきたわ」

「……だからこそ逃がしたのだ。そしてよそ見をしている暇があるなら――」


 ――私の相手をしっかりとしてもらおうか。



          ◆◆◆



「――はぁ、はぁ……」

「ふぃー、何とか逃げれたかにゃ?」

「…………」


 基地の門前に突然現れたあたし達に、守衛の人は驚くと同時に駆け寄って状況を尋ねてきた。


「一体何があったんだ?」

「駅のところに魔導師がいて襲われたんです! それでキリュウ先輩が今くい止めています!」


 ルヴィがすぐさま状況を報告すると、守衛の人達の顔つきも変わってすぐに辺りの兵士に指示を出し始める。


「分かった! 急いで向かう! 今出まわっている者に無線にて伝えよ! 付近の者は駅に直ちに駅に向かうように!」

「ハッ!」


 すぐさま行動に移るためにあたし達の周りからは人が散らばり、門前に残ったのはあたしとルヴィ、そして怪訝な目つきでルヴィを睨むフューリーだけとなった。


「……あんた、ロッド家だったのかよ」

「…………」

「初対面の時、あんたはルヴィとだけしか名乗っていなかったよな!? 俺は、俺は他にも平民出身の人がいるんだと思って安心していたはずだったんだよ!」


 フューリーはルヴィがロッド家の人間だったことより、騙された方に憤慨していた。


「俺は、俺は平民だからこそ必死でやってきたのに、お前は、お前は……!」


 ルヴィは突然怒りをぶつけられたことに怯え、身を縮ませた。それを見たあたしはルヴィを庇うと共に、ルヴィがどうして身を隠してきたのかをフューリーに言ってやることにした。


「ちょっとフューリー! ルヴィの言い分も聞かないで勝手なこと言わないでよ!」


 いくら騙されたからって、ルヴィの言い分も気かずに怒るのはおかしいと思うけど!


「ルヴィはね、ロッド家を抜け出してきたんだから!」

「ッ……どういうことだ」


 フューリー自身が予想していなかった言葉をあたしが投げつけると、フューリーは怒るのをやめてどういう事かに耳を傾け始める。


「ルヴィはロッド家に閉じ込められて、それこそあんたみたいに理不尽な目に合っているんだから! だから身分を隠してまでここに逃げてきたの!」

「……そうだったのか」


 フューリーは自分の怒りが軽率だったことを素直に謝り、申し訳なさそうに頭を掻いている。


「悪かったよ。俺はそういう理由を知らなかったから、ついキレちまった」

「いいのです。もとはと言えば、私が身分を偽っていたのもいけなかったのですから」

「それでねフューリー、もう一つ言わなくちゃいけないことがあるの」

「何だ?」


 あたしは学校での襲撃を絡めて、フューリーにあのテロリスト集団が何を狙っているのかを伝える。


「あの《悪魔の右手デヴィルスアーム》の人、多分ルヴィを狙ってる。どこから漏れたか知らないけど、ルヴィ=ロッドが七曜魔導学院に入学してるってばれているみたい。それで身代金目当てか分からないけど、ルヴィを狙っている」


 ルヴィもあたしも、ここまで来るとは正直予想できていなかった。だけどこうなったら、徹底的に戦うしかない。


「……だったら、守ってやらねぇとな」


 そしてフューリーの口からも、あたしが期待していた通りの言葉が出て来てくれた。


「そいつ等が悪い奴なら、俺達が守る。友達を守るのは当然だろ?」

「さっすがフューリー、どこぞの変態とは違ってストレートに分かってくれる!」


 よーし、こっから巻き返してやりますか!



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