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「そうと決まったら戻ってキリュウ先輩の所に戻って、今すぐ加勢にいこっか!」

「ちょ、ちょっと待て。それは止めておけ」


 なにさー、せっかくやる気になった雰囲気だったのに。

 あたしが再び【光速ソニック】=【消失バニシング】で戻ろうとしたその時、フューリーはあわてた様子であたしを引き留める。


「なんで止めるの?」

「お前せっかくキリュウさんが敵を引き離してくれたってのに、戻ったらもともこうもないだろ」


 フューリーがそういった次の瞬間、駅の方角から爆炎と共に黒い煙が立ち昇る。あたしはそれを見て、ますます急がなければいけないという感情に駆られた。


「でもやっぱり先輩一人じゃ不安なの! あたしたちも行かないと!」

「……ったく、怒られても知らねぇぞ」


 ため息をつくフューリーの腕を掴んで、そして反対側でルヴィの手を握りしめて、あたしは再び光となって飛んでいく。


「【光速ソニック】=【消失バニシング】!」


 待っててください先輩! あたしが今すぐ敵をとっちめてやりますから!



          ◆◆◆



 あたし達が駅前の広場に到着したときには、全てことが終わっていた。


「あら、また戻ってきたのかしら」


 爆炎により更地にされた駅と、瓦礫の上に立つ一人の女性。《悪魔の右手デヴィルスアーム》に所属している女性一人だけがその場に立っていた。


「バカもの……戻って、くるなといったはず……!」


 加勢に来ていた兵士は全てその場に倒れ、そして同じく倒れているキリュウ先輩の脇腹からは止めどなく血が流れている。


「……許さない」


 あたしは即座に魔導方程式を構築し、目の前にある敵を倒すための式を解き始める。


「……【雷霆ヴォルテックス】=」


 例えるならいかずちの雨とでも言うべきだろうか。あたしの両手から、天に上るかのように無数の雷が立ち昇り始める。


「ッ! まずいわね」


 これは十二階層の呪文スペル。あたしでもまだ解いた事の無い呪文だからか、少し解くのに時間がかかる。

 その間にも敵は焦った様子でポケットから青白く光る石を取り出し、石を口にくわえて魔導方程式を解き始めている。

 だけどもう遅い。


「【暗黒ダーク】=【消失バニシング】――」

「――【墜落フォールン】!!」


 あたしが両手を前にかざした瞬間、眩い稲光と共にひときわ巨大ないかずちが目の前に落とされた。

 鼓膜を破りかねないほどの轟音と目を潰しかねないほどの閃光をばら撒いて、巨大な稲妻は徐々に細くなり消えて行った。


「……やったのか?」


 後に残っているのは、巨大なクレーターと有り余った電流が地を這って放電されている光景のみ。

 フューリーとルヴィはとっさに耳と目を覆ったために一部始終を見ることはできなかったけど、魔導方程式を発動したあたし自身は知っている。


「……ギリギリ逃げられちゃった」


 わずかな差で逃げられてしまった。あたしとしてはここで消し炭にするつもりだったんだけど……。

 まあいっか。次に会った時にもっと酷い式を使えばいいだけだし。


「……それより、キリュウ先輩は!?」


 あたし達はキリュウ先輩の元へと駆け寄り、その容態を見て様子をうかがう。


「大丈夫ですか!?」

「あ、ああ……だがもう、私は……」

「それ以上喋らないでください! 血が!」


 ルヴィの言う通り、キリュウ先輩からは血が止めどなく流れ続けている。

 だけど先輩を死なせはしない。絶対に!


「ごめんフューリー! あんたは他の兵隊さんから無線機なり何なりを拝借して急いで基地に連絡して! あたしはルヴィと一緒にキリュウ先輩と飛ぶから!」

「わ、分かった! 気を付けろよ!」


 先輩、絶対に助けますから!


「【光速ソニック】=【消失バニシング】!!」


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