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ある意味変態がいるー!

「そう慌てるでない愚民共。我々は唯ある人物を引き渡してさえくれればいいだけなんだ」


 あたしが校庭で目にしたのはレトロな自動小銃を構えた小隊。

 服装は少なくとも今まで見たことが無い軍の服っぽくて、アレク先生の所とは違う所属なのかも。

 あたしと生徒会二人は学校の屋上に身を隠して遠目に様子をうかがい、事態に何と変わり込めないかの状況を把握しにかかる。

 軍の奴等はたまたま校庭にいた生徒や教師の額に銃を突きつけ、学校を脅している。

 生徒が怯えている中、昨日あたし達を寮へと連れて行ってくれたクラックル先生がその軍隊の長らしき人物と何とか対話を交わしている。

 

「ある人物とは、一体誰のことを言っているのです!? 我々には何の関係も――」

「あるさ。匿名でいくらでも匿えるこの七曜魔導学院なら、七曜の魔法家だろうが平民だろうが関係なく!」


 部隊の長と思われる男が、眼鏡を上げて高らかに叫ぶ。


「さあ、渡してもらおうか。ロッド家の一人娘、ルヴィ=ロッドを!!」


 男の叫んだ名前を前に、下にいた人たちの間にどよめきが生じ、あたしはそれを別の意味でまずいと思った。


「……まさか、ここまでしてくるなんて」


 もしかして、本格的に連れ戻しに来たってワケ!?


「七曜の魔法家関連の奴等か……チッ、俺がケリをつけてくるか――」

「待ってヴィンセント。そうする必要はない……」

「だが俺が出張らなければあいつ等は引っ込まねぇだろ。どけミクム、俺が行って――」


 ミクムはヴィンセントの肩を持ち、首を横に振って制する。


「その必要はないよ。見て……」


 そう言ってミクムが指を指した先には、赤い髪の青年の姿があった。

 それを見たヴィンセントはハァ、とため息をつくと撤収の声を挙げる。


「クロウンがいるならいいか。帰るぞ」

「えっ!? いいんですか!? あたし達何もしなくても――」

「あのカマ野郎がいるならもう十分だ。俺達はさっさと撤収して通常運営にあたる」

「……そんなに凄い人なら見学してもイイっすか?」

「ああ。だがあいつの動きや行動まではまねすんじゃねぇぞ」


 意味深な言葉を告げた後、ヴィンセント先輩は屋上から去っていく。

 一人残されたあたしはヴィンセント先輩から教えてもらった【水晶クリスタル】=【錬金マテリアライズ】の応用で自分の眼鏡を簡単な望遠鏡にすることで、事態の観測を続行することにした。



     ◆◆◆



「――誰だ貴様は?」


 突如生徒の中から現れた長身の青年に、部隊長の男は怪訝そうに問いかける。

 赤い髪の青年は俗にいうモデル体型とでも言おうか、すらっとした体にクールな表情を携えているその姿は、ロキとは違ったカッコよさを漂わせている。

 ロキ先輩はまるで女子は自分にだけなびいていたように言っていたけど、あの人もかっこいいんじゃないの?

 そう思っていたあたしの考えを、その赤髪の青年は口を開くことで打ち壊してくれた。


「――あら? よく見ると渋めのイケメンじゃなーい! すっごくアタシの好みなんだけど!」

「……えぇー……」


 モデル体型の青年は体をくねらせている姿はゾッとする……っていうかカマ野郎ってそういう事だったの!?


七曜魔導学院ウチに何の用かしら? もしかしてイケメン漁り?」

「ふ、ふざけているのか貴様!?」


 銃口は一斉に青年の方を向くが、青年はそれでも冷静に立っている。

 そしてそれを狙っていたのか、生徒や先生は徐々に後ろへと下がる事により、結果的に全ての注目を青年へと集めている。


「アラ、気を悪くしたのならゴメンナサイ。でも――」


 青年の両手に炎が宿り、辺りの空気が陽炎に歪みはじめる――


「――おいたはダメよ。【爆炎ブレイズ】=【分散スプリット】!!」


 青年を中心に次々と爆発が起こり、爆風によって銃を構えていた兵隊が次々と吹き飛ばされる。


「――フゥ……アラ、貴方は思ったよりタフね」

「き、貴様ァァアアアアア!!」


 爆炎の中生き残ったのは、無傷でフゥと火を噴く青年と、ボロ雑巾のように衣服を焦がした小隊長のみ。


「……少しだけ、楽しめそうね」


 生徒会のお会計係、クロウン=クラウンが少しだけ相手してあげるわ――



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