7 四日目。福島・山形(5)
国道287号入りし、しばらく走った所でパムホを確認します。蘭もまた、市内を無事に抜け、順調に国道13号に乗ったようでした。なら、いいでしょう、ご機嫌伺いです――
『ピポッ』
「聞こえる?」
『国内電波法!』ガクッ。
「……いきなりそれですか。もう忘れましょうよ」
『絶対忘れないから。あとアレもソレもコレもね! ちゃんと憶えてますから!』
「あのう、パムホごしだと人格が変わってませんか?」
ハダカネタのことも思い出します。「大胆になってますよ」
『そんなこと言うなら、コオだってそーじゃない!?』
「さて?」
『……』
「はい?」
パムホごしでないと、言えないこともあります。少し息をのむ気配がしたあと、
『……綺麗なお月さんね』
行は即答でした。
「あ、あのときは、その前の事情があったからじゃないですか」
ハダカネタの仕返しだ、という意味です。
ところが、
『?』
「?」
『……』
「?」
なんだか意思の疎通ができてません。
少しした後、
「まだ月は出ていませんよ?」
と探りの言葉を入れたのでした。
『……まったく、コオくんったら』
呆れた気配が伝わってきます。
『ちょっとはポエムのこと、勉強してくれなきゃ困ります』
「困りますぅ???」
『オーバー』
(ぷつん……)
なんだかなー、でしたが、蘭が元気を取り戻した様子だと知れて、大いに安堵したのでした。




