6 三日目。栃木・福島(1)
翌朝。
着衣はまた少し、その面積を減じさせていたのでした。
上衣の裾はいよいよトップバストに迫らんとしていますし、肩まわりはさらに広くむき出しです。下衣は下衣で、ウエストがますます下がったうえに、サイドはもう、ヒモになんなんとしています。お尻なんて半分も隠れているかどうかってところ。
サンダルの編み上げも、アームバンドも、径は変わらず、長さだけが短くなっていて、おかげで洗濯のせいではないことが、はっきりとしたのでした。
衣料すべてに言えることですが、厚さも2ミリ程度にまで薄くなってしまってます。うぶ毛さえ、すじとなって見えるんじゃないかってほどで、このまま進行すれば、最終的に極薄テープを一本体に巻き付けた感じになってしまうのではないかと危惧されたのでした。
むう、と唸ってみたものの、どうしようもありません。
今日は蘭と合流する予定ですが、とても会いたいような、とても困るような、そんな複雑な感情に弄ばされたのでした。
今日の予定ですが、移動距離はラインにして約86kmです。
実走距離は、その3、4割増しと考えとけばいいでしょう。
自分は“まっすぐライン”に沿って北上するだけですが、蘭は、いよいよテーマである天然湖群に行き当たります。彼女も観光に時間を掛けるでしょうから、合流地点では、こちらが待ち受ける形になると思われました。
「よし!」
旅の三日目。7月23日、火曜日。ゆっくりと、午前9時に――
旅館玄関前を出発です! 国道400号を西へ、川に沿って、山の方へとコン吉を走らせます。
振り仰ぐと目に染み込むほどの青い空でした。今日も上天気で、それだけで、幸せな気持ちで心がいっぱいになります。
「うーんんん……」
伸びをします。
「ん……」
天気に絡んで、ふと思い出すことがありました。
旅は楽しい方がいいに決まってますから、機会があれば積極的に住人の方々に話しかけ、コミュニケーションを取ることを心がけていたのですが、その際、天気は、じつに都合の良い話題でした。皆さん親切に相手してくれて、それはそれで大成功だったのです。が――
そのうち、その誰もが、的中率100パーだったことに、驚くことになったのでした。
昨夜も、『旅の期間中は天気が崩れることはない』、と宿の古参らしき仲居さんに太鼓判を押してもらってて、その通りの今日の、この上天気です。こうなると超能力でした。
なぜ、フラットランドの皆さんは、こんなにも正確に天気予報ができるのでしょう?
「――あはは?」我に返る、大ギツネの鞍の上。
いったい何で、こんなこと考えてしまったのでしょうか?
今、自分一人だけだから、手持ち無沙汰に、こんな些細なことまで気になってしまったのだろうと割り切り、それはそこで、考えを終わらせたのでした。




