6 三日目。栃木・福島(2)
塩原から西へ出発するとすぐに山です。眺望のない、ただ風だけが強い尾頭峠(標高1142m。現世では廃道)を、汗と元気あふれるままに一気に越え、そして急坂を下ります。昨日の国道121号に復活をはたし、北上開始――
山中とは思えないほどのなだらかな道路を気持ちよく走行します。
空が沸騰し、その吹きこぼれのような蝉の声。すでに気温はそうとう高く、汗が噴き出て――
それも快感とばかりに力走、快走――
緑色と青色と白色の組み合わせは何でこんなにも美しいのか――!
夏は大好きだよと笑い顔のまま、余裕で山王峠に到達です。(注、現世の旧道は通行止め)
標高850m。さぁ、青看板。
『ようこそ! ここからはフリュークジルマ県』
思わず歓声が口をつき、汗をかいた体に風が心地よく、そして行く手には見知らぬ大地の眺望があり――
実際は、今までの山の続きの景色でしたが。(笑)
それでも、ついにです。変わるのです。その変哲のない景色に、なのにいっぺんに報われた思いがして――
関東エリアを走破して、ついに来たぞ、東北エリア、だったのでした。
関東地方から東北地方に入る。エリアが変わる。これは、格別な感覚でした。
特に、相手は東北地方――
なにか、そう、結界に侵入する。と表現しましょうか――
行としては、いよいよ魔界。妖怪の住む異郷の地へと足を踏み入れる、勇者そのままの気分でした。
「さぁ行こう!」
一声かけて、雰囲気だして、長い下り道に飛び込んだのでした。




