4 一日目。栃木(7)
「次に簡単なことは何でしょう」
「ここまで来たら、もはや“神”の謎しか残ってないでしょう。一体“ブンタロー”さん、この地でナニをやらかしてしまったのか、です。それも“神”と上げ奉られる、どれほどの偉業を、です」
「……」
蘭は口を結んでしまったのでした。
「……」
行もまた、無言になってしまったのでした。
二人とも、ナニかにアテがあったのです。
「……」
「……」
関東大災害平野、でした。
あの、関東一円、ペッタンコ現象です。もうこれしかない、というものです。
“ブンタロー”は、どうにかして、関東地方をプレスしてしまったのです――!
気を張らないと、笑い出してしまいそうです。(そんなアホな――)
無茶苦茶な話でした。でも――
認めたくなく、苦しそうに頭を振る二人です。
――ですが、それ以外、“奇跡”、“神業”の、候補がありません。
やがて、蘭がぽつりと、言葉を発したのでありました。
「“虫の知らせ”は、“愛”ではなく、あの“災害”のことを伝えていたのね。早く逃げろと……」
「そのようですね。さすが、旅人の勘。本能の働き……」
深く、同意する行だったのです。
気を取り直すように蘭が提案しました。
「事実は現世で、直接ご本人たちに確認したらいいのです。この件は、今はここで終わりにしましょう」
「了解です」
「最後に、折角だから聞きます。組み合わせ、どれだと思います?」
「ぼくときみの、直感勝負ですね?」
「もう、殿方ったら、勝負事がお好きなんだから」(笑)
「賭けますか?」期待半分に誘ってみます。
「フフン。勝った方の願い事を一つ叶えること!」乗ったうえに、レイズする蘭でした。
「何でもいいの?」
「制限なしよ」
「では――」
「それでは――」
ショー・ダウン。
ずいぶんと危ない遊びをしたものですが、二人ともわかっていたのでした。
推理も何もありませんでした。もはや直感的に、本能的に――
「(1)文太郎×花子!」
声が重なります。これだと、確信していたのです。
「ノーゲーム……」
そうして、二人は屈託なく笑いあったのでした。




