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だいいちわ!

高校生の初投稿です。生暖かい目で見て下さると幸いです。

腹のなる音が聞こえる。それもそのはず一週間はまともなものを口にしてはいなかった。もし魔法の才能なんてものがあればと思っても無駄だ。ほの暗く光る街灯に照らされた俺はひたすらに飢えていた。どうにかしてこの腹を満たそうかと言うことを考えるほかなかった俺はレンガ造りの家の軒下に座り込みエネルギーを節約する。今ここにウサギの脚のシチューがあれば、きのこ踊るパスタがあればと妄想を膨らませていると微かに匂う小麦の匂い。幻聴ならぬ幻嗅か、しかし疑うだけの気力などなく。それに連れられて歩いた先に男が一人、階段はじに持たれてパンを喰らおうとしていた。少々老けた顔が彫りの深い目元とあってどこか不気味でいて、やけに小綺麗な服と格式の高そうな軍帽をかぶっていた気もするが良心なんてものは思考の外、内ポケットに潜ませたナイフを片手に男めがけて飛びかかった。今思うと情けないったらありゃしない。そこで記憶は途切れた。


-----------


隊長の側に小汚い男がナイフを持って近づく、その顔からは気迫と殺意しか感じられなかった。部下として、軍人として迎撃しようとするも対象は力無く倒れた。ここはスラム街、すでに限界だったのだろうか


「隊長、いかがしましょう」


どうせ打ち首にでもなることはわかっていたがあくまで命を待っていると


「もうじき出るだろう馬車にのせておけ」


……冷酷な普段の姿からは想像できないほどお優しい仕打ちだった。


「まさか…参加させる気でして?」


「お言葉ですが……魔法すら使えないような奴では運が良くて生きて帰れるのが関の山では?」


「…それまでだったということよ」


凡夫になぞ同情しない俺でも可哀想に思う。そう思いながら服の端を摘み上げ薄暗い夜道で歩を進める。


-----------


体がリズミカルに躍動する。ああパンも食えずに三途の川を渡ることになるとは情けない。せめて一口……ところが反応する嗅覚がここは現実であることを否が応でも示していた。目を開けるのすら億劫な俺も鼻をくすぐる匂いには勝てない。


「サンドイッチ!?」


眼前にはハムとチーズの時たまはみ出た一切れが、あとついでに少女。勿論かぶりつく。


「なんなんです貴方!?」


パンのおまけがなにか言葉を発している気もするが構ってなんかいられない。一口、また一口と進めるうちに胃に多幸感が訪れる。


「俺はこの瞬間のためにいきてんだ…………」


ああ生きててよかった。二重の意味で味を噛み締めていると突如頭に痛みが走る。耐えようもない激痛だ。え血出てんだけど。この女力強すぎない?


「話を聞きなさい!」


急に冷静になってきた俺は素直に感想を述べる。


「……美味かったぞ?」


二度目の激痛は意識を彼方に飛ばすには十分だった。


-----------


「んぐぇ」


「……ようやく起きましたか」


柔らかい感触と共に状況を知る。俗に言う膝枕という奴だ。なんだかこっぱずかしいので即起きる。さっきはサンドイッチしか見えてなかったが今見ると白髪の美少女が少々困った顔をしていた。


「えーっと私も強くやりすぎました……すみません」


「びっくりするくらい痛かったぞ?」


「勝手に私のお昼食べるからじゃないですか!?」


まあ自業自得だが死ぬところだったので許してほしいところ、絶対たんこぶができてるであろう頭をなぞる……なぞる……ん?


「あれ?痛くもないし傷もない?」


「治療しておきました……そういう血統ですので」


馬車の揺れの大きさが気にならなくなるくらいには驚く。


「まさか魔法か?」


なかなかに魔法を使えるやつというのは見たことがない。使用者の大多数は貴族や王族に限られており俺は放浪していたような地域にいるわけもないのだが。


「つまりお前はお偉いさん?すげえじゃん」


「……そこまで凄くも偉くもありませんよ」


「というか貴方も勿論使えるでしょう?」


「いやまったk」


「使えない人間がこの馬車に乗る意味がないじゃないですか」


一瞬の静寂と共に意味を考える。どうしよう、乗る馬車間違えたか?というか何で俺馬車乗ってんの?長考(感覚的に)の後に俺は……


「そ、そ、そりゃそうだろ?」


と答えるほかなかった。


「ふむ、どんな血統魔術をお持ちでして?」


詰んだかもしれない。しかし今までこんな困難乗り越えてきた俺にかかれば起点をきかすことなんて余裕で、


「……さっきの一撃?いや二撃のげんこつで記憶が曖昧なもんで……この馬車どこに向かってたっけ?」


「……すみません、私のせいで、もう一度治療しましょう」


「いやそれはいいんだ!……状況を整理させてくれ!」


流石に心が痛んだ、一応俺が先に失礼働いたはずなんだが、優しいものだ。


「私も貴方も、軍部学校へ向かっているのでしょう?」


「これからの選抜で私たちの将来は決まるんですもの」


軍部……学校……数年前のクーデターで実質的国のトップとなった軍隊……成程用はエリート共の育成施設か。尚更なんで俺ここにいんの?


「ああ、そうだったな、そうそう選抜選抜……」


とりあえずは話を合わせるほかない。既に帰りたい。帰る場所なんてないが。……おそらくみんな魔法が使えるんだろうな。出来損ないの俺なんかが行くところじゃないだろう。正直に言って降りるか。いや待てよもし入学して卒業できたら?少なくとも飯には困らないだろう。……クソみたいな飯とも形容できないものしか食えないあの街に戻るくらいなら…

対抗手段は“ある”んだ。よしチャレンジくらいしたっていいだろう。何も死にやしない。あ、なんかやる気に満ち溢れてきた。それと同時に揺れが止まる。着いたのだろう。


「お前のおかげで記憶が戻ってきたよ」


「それはよかったですね?」


「では血統魔術を」


「なんだかトイレに行きたくなってきたなあああああ また会ったらよろしくな?飯さんきゅな?な?」


「ええ…………?」


飛ぶ鳥も落とす勢いで身を翻し馬車から飛び降り、逃げ去る。記憶が戻ったなんて言わなけりゃよかった。怪力サンドイッチ少女には申し訳ないことをしたがあのパワーがあるんだ、俺が合格さえできればまた会えるだろう、そのときまでになんか考えておこう。


-----------冷たい地面を蹴って数分、人混みの層の分厚い開けた場所に出る。

「こいつらが……選抜に来たやつら?」


いくら何でも多すぎないかと思っていると隣にいる少年と青年の間くらいの顔つきが答える。


「実質的な権力のトップに立てる機会なんだ、見逃すようなおっちょこちょいはいないんじゃない?」


やけに気分の良さそうなような物言いだ。


「お前も……そういうクチか?」


「さーどうだろうね?......ひとつ言うとするなら……ただ僕は暇つぶしがしたいだけさ」


友好的なようで……死んだ目をしていてどこか近づきづらい。近づきたくないと言った方が正しいのかもしれない。そいつはそんなオーラを放っていた。似たようなやつに昔会ったことのある気のする俺が思い出そうと頭を抱えようとしたそのとき、轟音とともに空からおっさんが降ってきた。それ以外の表現ができない。シュールとしか言いようがない状況だが周りは冷静だ。魔法の類いだろうか。どう見ても急に現れたようにしか見えない。静かに口を開いたおっさんは言う。


「これから一次選抜を開始する。ルールは簡単、山を越え、この先にある学園の門をくぐれ。先着で2割ほどで切る。それさえできれば合格だ」


なんだ格式高いような物言いにしては随分シンプル、要はかけっこだ。足の速さだけで何を見る気なんだと冷笑していると付け加えられたルールに納得する。


「ただし妨害は自由だ。本試験での死亡は国が事故死とみなす」


木が揺れ草がたなびく。殺し合いOKらしい。物騒すぎん?周りからはざわめきが聞こえるが次第に落ち着いてくる。家と血がかかっているのだ。背に腹は変えられないのだろう。しかし、腹を満たしたい俺は別に争いを望んでいるわけじゃない。潔く踵を返そうとして気づく、帰り道がわからん。当たり前である。記憶が薄いがぶっ倒れて気づいたら馬車にいたのである。わかるわけがない。


「試験開始ィィィ!!!」


迷っているうちに開始の合図は鳴っていて!?

結局人並みに揉まれて無理やり決断を下させられることとなった。それぞれが少しずつ数の子を散らしていき木々に囲まれる中、身動きが取れるようになった俺は早速危機に陥っていた。


「すまないなぁ、弱そうなお前からやらせてもらうぜ」


低い男の声が響く。驚くくらい典型的なゲス顔だ。魔法というものは怖いもので中でも家柄固有の血統魔法なんてものは初見殺しのものだってある。しかし喧嘩を売られたのだ、俺にも対抗する手段はある。


「お前から来たんだ、せいぜい後悔するなよ?」


体に血が巡っていく。さあ一方的な蹂躙を始めよう。その名を呼び-----引き抜く。獲物をもった状況なら負ける気がしない、いや負ける未来が見えない。そうして俺は内ポケットに手を伸ばして-----ありゃ?


「無え?あれ?俺のナイフは?」


困惑する敵、最後に使ったシーンを思い出してみる。まさか-----あの後落とした????


「おれっちに跪く準備はできたな?」


「ちょっと待ってもらおうか、その、なんていうか」


ジリジリと狭まる敵との距離。こうなってしまえばもう、俺にやれることはひとつ。戦略的撤退だ!


「さらば!」


全力で山道を駆ける。


「待てやゴラぁ!---火弾!」


え一方的な蹂躙?知らんな。ケツを火が掠めあやうくカチカチ山のタヌキになるところだったが、木々をかき分け河を飛び越えなんとか巻いた。どこいったんだよ俺のナイフ。周りを見渡しても一面木!木!木!最低限の自衛だ。落ちている枝を拾い名付ける。


「命名:ぺけぺけソード!」


我ながら完璧な名付け。これが無いと本領発揮できないのだ。さて行こうと歩き出そうとしたそのとき、中距離から聞こえてくる高めの叫び声。妙に聞き覚えがある。気になって見てみると、つくづく思う。俺の勘というものは当たる。目の前に映る光景は死んだ目をした男が暴走とへたり込むあの少女。


「ハァ……ハァ……まさかこんな強い人だとは……」


「もう終わりか……もうちょっとは骨のあるコかと思ったんだけどね」


呆れたような顔つきで男は言う。


「まあ死になよ」


「あ……」


そうして放たれた火はもはや人を覆い尽くせそうなサイズだった。無視して駆け出そう。俺にとっちゃ面倒ごとに巻き込まれる意味はない。が、サンドイッチの恩がある。俺は食べ物の恨みは恐ろしいものだと思うし、それは逆も然り。そんな思いが俺を駆り立てたのか気づけば走り出していた。


-----------


激しく揺れる炎は気付けば眼前まで迫っていた。足の遅い私は草むらを隠れるようにして移動していたところをその男に見つかり今やとどめを刺されようとしていた。走馬灯のように流れる親の顔、昔好いていた強い女の子が主人公の小説、送り出してくれた領地の皆様方。ああ死にたくないな。みんなに迷惑かけたくない---そして最後に流れてくるサンドイッチと空腹少年。なんで?いや確実に今ではないでしょう。確かに印象的ではあったけども。あの少年と会うことももうないだろう。諦めて目を閉じようとすると目の前に砂埃と影が立ち込める。


「え…………」


その驚きは声に出るばかりか目を見開かせるまでに至っていた。


-----------


ギリギリのギリ間に合った。しかしどうしようかただでさえ心もとないぺけぺけソードだけで、こんなサイズの火の球に勝てるわけがない。もう少し小さければ掻き消せそうなところだったが。もはやこうなれば一か八か。


「捕まれ!」


はっきりとした声を少女に投げかける。


「え、あ、はい!?」


触感を確認した、今!


「セイッ!」


地面を全力で叩く!鳴り響く衝撃波は火を止めることなどできないが二人を吹き飛ばすには十分だった。

----------------------


地面はえぐれ辺りは焼け、まったく凄惨な光景であった。まあ片方の原因は僕だけど。


「ふむ、やっぱり思った通り強いね」


地面に燻る煙と一言の感想だけが現場には残った。


-----------


見事なことにぺけぺけソードはその役目を果たした。今、手のひらにあるのは四cmにも満たない木片だ。着地方法のついて何も考えていなかった俺たちはなんとか葉のクッションにより軽傷で着木できた。絶賛無言タイム。怒涛の展開すぎて何から話せばいいのかお互いにわからなかった。小鳥のさえずりだけがこの場を独占している。しかしその閑寂を破ったのは彼女の方で?


「あれ……私生きてます?」


「さっきまで死んでたのか?」


今ようやく生を実感しているらしい。死とは恐ろしいもので、唐突に未来の消失を突きつけられる。この反応もそこそこに納得のいくものではあったのだが、時間でも止まっていたかのようなタイムラグである。


「……助けていただいたんですよね?」


「なにゆえ疑問系なのかは知らないが食べ物の恩だ、もう助けてねえぞ」


サンドイッチのおかげか所為か火傷しかけたのだ。


「……有難うございます」


まだ呆然としている感じなのでおちゃらけたように言う。


「お前怪力のくせしてどうしてあんなボコボコだったんだ?くらっても治癒できんだろ?」


全くもって魔法を使えるのが羨ましい。


「私が少し、力が強いのはそうかもしれませんが、あまり機敏に動けないものでして、」


まさかあのパワーは天然物ということだろうか、なんと恐ろしいことだろう。巨大ハンマーでぶっ叩かれてもへこみすらしない俺ですら血を流すほどだぞ?


「確かに治癒魔法は使えますが、魔力の総量が驚くほどに少ないものでして、数回使うだけで魔力切れになるんですよ」


「便利な魔法使いさんにもそんな弱点があったな」


魔力切れ、なんてなったこともないしなる魔力がないが、魔法だけに頼っていると痛い目を見るのだろう。現にこいつは足を怪我しているのにそのままだ。


「ところで、貴方の先程の技は……どんな魔法を?」


……言えない。地面をぶっ叩いただけとは、なんとかして考えた言い訳を紡ぐ。


「しょ、衝撃波魔法的な?」


「なぜに疑問系なんです?聞いたこともありませんねそんな魔法」


「俺地方から来たからさ、知らなくてもしょうがねえんじゃねえかな」


どんどん苦し紛れになってくる。嘘は苦手なんだ、許してほしい。


「……まあ命の恩人です、これ以上の追求はやめておきましょう」


優しいやつで良かった。ホッとして木蔭に腰を落としていると、上空のスピーカーから甲高く聞こえてくる。


「残り合格者枠数ニ枠---ニ枠---」


今いるのは山の中腹あたり。1/3にも満たない位置だ。食いっぱぐれる生活に逆戻りだろうか。まあ後悔はしてないけど?……ないけど?ああさようなら俺の華やかな飯ライフ。さてこれからどう過ごそうかと考えを巡らせていると向かい合っていた少女は足を押さえながら歩き出す。


「おいおい、さっきの放送聞いてたか?仮に歩けたとしても道中で襲われたらどうすんだ?」


俺の声が届いてないかの如く足を押さえながら一歩、一歩と進んでいく。


「別に死にゃあしないんだからリタイアしろよ」


やはりその足は止まらない。そうしてのろくも歩きながら声を出す。


「私の領地は、ドグロフ家は、王の権力時代から軍の地位向上にあたって不遇な扱いを受けるようになりました……」


「元々争いを好まない性格だったもので、攻撃魔法なんてものも使えず、領民は貧しい生活を続けています」


実力主義の風潮とは怖いものだ。個人的には弱くとも人望があるやつが強い奴らを動かしていくべきだと思うのだが、そうはいかないらしい。


「もっと必死になって訴えかけてもいいのに、みんなは私を和やかに送り出してくれたんです……」


「ここで足を止めたら裏切ることになります……」


そうして少女は片膝を地面につく。追いかけ回されて体力的にも限界が近いのだろう。


「お前の言いたいことはよくわかった」


「合格したいんだな?」


「そうでないように見ますか?」


ちょっとばかし意地悪だった。十分にその気概は伝わってきている。ならば目的に向かうだけだ。俺も丸くなったものだと思いながら尋ねる、


「腕、動かせるか?」


「使えはしますけど、どうしようもないのでは……」


「俺に考えがある」


少なくともこのまま牛歩のように進んでいくよりは良さそうなやつが。困った顔を浮かべながら指示を待つ少女の前で、俺はどんな名前をつけようか悩み出す。


-----------


おれっちは元々スラム出身の男。稀なことに才能で魔法が使えるようになった。試験で最初出会った男には逃げられたが別に問題はない。ゴールさえできればいいのだ。学園が見えてくる。貴族どもが手こずり試験に落ち、ここを去っていくなか完璧な下剋上をキメる。そうしてそしてゆくゆくは、軍隊長になって女を侍らす。キャッキャうふふなハーレムライフへの登竜門がもう目と鼻の五十メートルほど先だ。加速魔法を使用して最後の追い込み、


「おれっちの野望は誰にも止められねえぜ!」


クヒヒと笑いが込み上げる。笑わないというのも無理な願いであったのだろう、完全に有頂天となった男は空を舞う大木に気がつくことはなかった。残り十メートル!


「勝ったッ!おれっちにひれ伏せ!貴族どm」


勝利宣言も虚しく、ズンッと鈍い音が背中にほと走る。突如として男の目を埋め尽くす黄土色の地面。背中に走る激痛とも言う間のない衝撃。調子は天まで登っていた男、彼の体は落ちるどころか空から落ちてきた巨木によって埋め込まれ、完全に土に埋葬されている。火弾魔法を扱う彼は完全にリタイアすることとなった。


-----------


ドゴォッ、少女が太めの木を引っこ抜く。説明を終えた俺は早速行動に移していた。勿論彼女も。まったく疲労気味とは思えないパワーである。


「本当にやる気なんです?」


無理じゃないですかねとぶつぶつ呟くどその顔には怪訝な表情が浮かんでいた。手負いの少女には、にわかにしも信じられないのだろうか。


「とりあえずしっかり捕まっとけ、やれるかどうかじゃない、やる」


彼女を大木にしがみつかせて、こう返すしかない俺は早速準備を始める。


「命名:ぴょんぴょん大木バズーカ弾!」


「ふざけてます?今そんなお遊戯をしている暇なんてありますか?」


厳しい一言が俺に刺さる。流石は俺の命名センスだと思ったのに。だがもっともな意見だ。


「準備はいいな?」


「……もう少し心の準備を頂けると」


「時間がないからな」


先刻とは逆転した立場でものを言いバズーカ弾(俺センス)を持ち上げ構える。


「あの……できればお手柔らかに……」


「発射!」


学園方向に弾を押し出したと思ったそのときガシッと、手を掴まれる。このまま帰ろうとしてたんだけど。


「あぇ……」


「貴方も一緒に行くんですよ!」


少女の怪力の前では、何より空を舞いながら猛スピードで進む弾丸の上で抵抗する気力は俺になく、体を委ねるほかなかった。

-----------もうすぐ着弾というところで気づく。着地の方法考えてなかった。同じ轍を踏むとは我ながら愚か。


「ところで、どうやって降りるんです?」


今一番聞いて欲しくない質問に俺はこう返す。


「治癒魔法任せたぞ⭐︎」


「私が死んだら無理じゃないですかぁ!?」


少女の絶叫は俺たちの遺言(ラストワード)となった、訳でもなく、ぴょんぴょん大木バズーカ弾はゴァッ!という鈍い打撃音?声?と共に俺たちを地面に投げ出す。


「きゃぁぁぁ!」


「うぶぁ」


という悲鳴と共に俺はローリングしながらなんとか門を越えた。流れ星が如く、上から降ってくる少女。


「ごふぁ!」


俺たちの挑戦はジャストで俺に乗っかる形で華麗?な着地を果たされて終わった。鳴り響く


「人数が定員に達しました!試験終了!」


という合図が山中に広がった。俺の瞼が閉じそうになるなかで門は軋みながら静かに閉まっていく。


「私の名前はレノン・ドグロフ、これからよろしくお願いしますね」


恥ずかしさと驚きが混じったような自己紹介が腹の上から聞こえてくる。はよ降りろよってツッコミは置いておいて、そういや名前聞いちゃいなかったなーって。ならばこちらもーと思って言葉を発そうとするも、本日何回目だろうか、悲しくもここで俺の意識は途切れることとなった。ああ腹が減った。

まだ主人公の名前すら出てないってマ?たまに更新しますのでよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
始まりからテンポいい文章。日頃あまり異能もの、 ファンタジー系を読まない私もひきこまれました 会話センスに 脱帽
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