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暁の薔薇の伝説~ゲームの始まる前に滅亡した国の王女に転生したので回避したいと思います~  作者: えとう蜜夏
第一章 覚醒編

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二十二 『薔薇伝』のキャラ 

 私は大神殿から戻ると司祭長から聞いた聖女の存在について、『薔薇伝』に出てくる聖女を思い返していた。


 聖女は二周目以降に選べる、所謂隠しキャラだった。だからパッケージには描かれていない。


 設定資料集には絵姿が出ているけどね。でも、ピンク色の瞳と髪をしていてあまり聖女っぽいイメージは無かったかな。どちらかと言うと乙女ゲームのヒロインぽかった。だから聖女と言う割には人気はイマイチだったのよね。見た目だけだとあの中ではリルアが一番綺麗で可愛い。あ、自分の事だけど他人事に思える。


 『薔薇伝』のストーリーでは聖女が祈りを捧げているけれど闇の軍勢は広まっていく一方だった。でも、闇の神を倒し世界の安寧を願う場所として聖地と聖女は象徴的な役割を果たしていた。


 メインストーリーの要所要所に聖女が現れて闇の手下を倒す強制のイベントシーンや光の加護をプレイヤーキャラに授け、最後は世界が闇に満ちて、聖地にしか光が残らず、残された聖地の大聖堂から天空に現れた闇の神の城へと皆で魔道船に乗って、攻め込むのだった。


 実際にあるこの西の大陸から東の海上の海洋諸国にある一番大きい島が聖地と呼ばれ、そこに大聖堂があり聖女や大司祭様がいる。そして何より人々の信仰の拠り所となっていて、光を始めとする神々を敬う言わば中心的存在と言える場所。


 司祭長から聞いた聖女。それがどのような人なのかエイリー・グレーネ王国の存亡のためには一度お会いしてみたいわね。闇の眷属達とも戦うには光の加護は必要ですからね。


 あと『薔薇伝』のメインで選択できるキャラはアマゾナス国の追放された女将軍フリーニャ。彼女はパッケージ前列左側に刀を抜こうとした姿でメイン三人の一人として華を添えている。


 エイリー・グレーネ王国から東に行ったところの湿原地帯にアマゾナス国はあり、そこでは女性が権力を持ち、また住民は女性が多く生活していた。その中で将軍まで上りつめたフリーニャはその若さと実力を嫉まれて無実の罪で追放されるのだった。


 ――フリーニャの追放は十六歳、だからフリーニャを選ぶと十六歳からゲームはスタートする。


 あれ? 確か、リルアよりフリーニャは六歳上だから、今年、追放されるの? また誰かに聞いてみなくちゃ。でも、他国のそんな情報なんてどこで手に入れたら良いのだろう。


 それから『薔薇伝』のメインキャラ三人の後ろに控えめに祈りを捧げるような姿をしているのがリルアで、その反対側で竪琴を持って歌っているのがハーフエルフのセレク、彼もエルフの末裔という設定なので麗しいほどの美形である。そして、最初は放浪の詩人というベタな設定で始まる。でも、彼で進めると神々とのやり取りが分かって世界観が分かり易いというメリットがある。


「取り合えず、今できそうなのは、アマゾナス国の将軍の名前を調べることね」


 アマゾナスも我がエイリー・グレーネ王国とは国交があったから、そう難しいことでは無いと思うの。何せエイリー・グレーネ王国はモンスターの沸く樹海がある唯一の国であるから、それに集まる冒険者や貴重なアイテムを手に入れたいため、どの国も扱いを疎かにはしない。寧ろ友好国であろうとしてくれている。


「どうなされましかた?」


 神殿から帰って百面相をしながらお茶とお菓子を食べていたからアナベルに不審がられた。


「いえ、何でもないわ」


 アラス様との婚約と言う後ろ盾を得てからマドラ達による嫌がらせが無くなったようで私の専属の護衛騎士の登用ができるようになった。今日の護衛は騎士団から男性の騎士が来てくれている。


 あれから、お兄様専門の侍従、護衛、私の侍女、護衛が分かれるようになった。それまでは特に決まってはいなかったのはいつも一緒にいたからだ。当然バルドはお兄様の専属の護衛騎士に戻っている。いつもまるで家族というか兄弟のようにいたから少し寂しい。


 お兄様も今は十二歳、公務も少しずつ任されるようになったので、下手したら夕食まで会えないという日もあった。それでもできるだけお互いの話を聞くようにしている。


「リルア、今度は日帰りのばかりでなく泊りの公務を任せられるようになったよ」 


「まあ、それは大変寂しゅうございますわ。それでどのようなものですの?」


「ああ、西の街の視察だよ」


「それって、あの樹海の街の! ずるいわ。私も行きたいのに……」


「最近モンスターの沸く間隔が狭まって来たみたいだから、騎士団と見に行くことになった」


「むううぅ」


 上目遣いでお兄様を見ていると、フォルティスお兄様は相好を崩した。


「ふふっ、仕方ないな。リルアは僕がいないと寂しいんだね」


「そ、そうなのですわ。ですから私も一緒に」


 ……別に寂しくはありませんけど西の樹海は見ておきたい。


「じゃあ、父上と騎士団長に聞いてみるよ」


「お兄様、大好き!」


 私は精一杯可愛いらしく言ってみるとお兄様はにこりと笑って肯いていた。


 お兄様はやっぱり優しくて賢いのですわ。

お読みいただきありがとうございます。


まだまだ序盤なのですよ。恐ろしい。

そして、主人公の推しだった放浪の女将軍フリーニャが脳内で段々ダメな人になっていく……。

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