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異世界転生がリアルすぎる!?  作者: 全州明
プロローグ
1/28

旅をしていただけなのに。

 ピアノの音が聞こえる。クラシックか何かだろう。高級感のある上品な音色が、高い天井まで届くようだ。見知らぬ教会に一人座り込んでいた僕はいつしか聞き惚れ、うつらうつらと眠気に襲われる。


「ーーーーもし、もし、もう閉館の時間ですよ」

 肩を揺さぶられて目が覚めた。ハッとなってあたりを見回すと、なんとなく薄暗くなっていて、窓の外はすっかり夕焼けに染まっていた。

「あれ? ……あぁ、すいません」

 少し困り顔をしていたシスターさんは、それを聞いてにっこりと笑った。

「いいえ。随分長いこと気持ちよさそうにしてらしたので、声をかけるのが遅れてしまいました。こちらこそごめんなさい」

「いえ、そんな」

 立ち上がり、出口の方を振り返った。


 そのときだった。


 ーーーーバタン!!

「「え?」」

 声が重なる。二人きりの教会の中、何かが壁に打ち付けられるような大きな音が響き渡った。

 それは出入り口の大きな扉がひとりでに閉まる音だった。

 次の瞬間けたたましいサイレンの音とともに視界が赤く染まった。

「なんだ? これは、火災警報!?」

 にかわに足元からかすかな煙が立ち込め、こげた匂いが鼻を刺す。

「……」

 シスターさんは何も言わない。困り果てた様子であたりをせわしなく見回していた。

「下からか?」

 立ち込める煙が強くなるとともに、火事の場所がおぼろげにわかる。この教会には地下室でもあるのだろうか。

「そんなはずは……」

 ガタンと大きな音がしたかと思うと、突然、僕らに向かって影がさした。

「危ない!!」

「きゃっ!!」

 気づいたときには遅かった。教会の壇上の中央に飾られた巨大な十字架が、僕らに向かって倒れてくるのが見えた。僕らはそのまま、押しつぶされたのだろうか。

 意識は、そこで途切れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほほぅ、シスターということは教会。 あぁいう場所って火災警報とかそういういわゆる文明の利器とは縁がないと思っていましたが実はそうでもなかったのですね。というかリアルすぎると言うのはそういう…
2020/05/23 22:13 退会済み
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