なんか変な感じがする
リズがやっとこさ目を覚まし、遂にダンジョンに入る。ちなみに、ヨシュア達は先にダンジョンに入って行った。
「うぅぅ……申し訳ありませんわ二人とも。あまりにもヨシュア様が尊……偉大すぎて、目眩がしてしまったのです。」
「な、なるほど?」
「まあ、それはいいとして!二人とも、急いでください!ダンジョンにある試練は三つだけで、どれも早い者勝ちなんですからね!!」
そう、リズが気絶している間に彼女達の派閥は七つの派閥に先を越されているのだ。
いくらヨシュアが尊いからとリズが自己弁護しても、普通に失態である。
ここにローゼがいたのならば、リズが気絶していようがお構いなしに彼女を担いでずんずんと進んで行くだろう。いや、確実に行く。そういう前例があったはずだが、それは今はどうでもいいだろう。
途中で魔物(仮)が出た。牛のような形をしていて、口から火を吐く能力があった。
ここで役に立ったのがティナである。水の精霊であるティナは水を作り出し、魔物を撃退した………………のではなく、牛型の魔物の鳩尾を思いっきりぶん殴り、吹き飛ばした。
リズ達からは、「え?」という声が出たが、これが本来の精霊の戦い方である。主人であるローゼを始めとし、霊は基本的に殴り合いで物事を決める脳筋なのだ。
『うーん?この洞窟、なんか変な感じがする。』
スタスタとダンジョンを進んでいくうちに、ティナが何かに反応したようだ。それは別れ道になっている空間で【手分けして進むべし】と書いてある。一見何も変わっているものはない。
「?何か、変なんでしょうか?」
『いや、気のせいかもしれないけど、ほんの少しだけ氷の気配がするの。でも、氷の精霊は極寒地帯が好きだからこんなジメジメしたところにいないはずなの。』
「うーん……もしかしたら、ローゼ様の霊力の影響でまた精霊が生み出されているのかもしれません。」
『気をつけてね、みんな。ヒュドラー様から出来るだけみんなを守れって言われてるけど、氷の精霊が相手だとさすがに無理だから。』
なんで、炎じゃないんだろ。とぶつぶつ文句を言うティナ。そう、ティナの属するエレメントは水。炎には絶大な効果を得るが、氷だとそもそも抵抗ができない。
水の精霊は液体ならば、泥水だろうが血液だろうが味噌汁だろうが操ることができるが、氷とは極端に相性が悪い。最悪、以前ヒュドラーがフェンリルに氷漬けにされたの件のように、体ごと凍りつくことも珍しくない。
「ならば、別れて進むのはやめましょう。私達三人しかいませんし、一人でも戻って来られなければ詰みです。」
そうなのだ。彼女達はただでさえ人材不足。通信手段がないここで別れてしまえば合流はかなり困難になってしまう。しかし、別れて進めと書いてかる以上、なにかあるのだろう。
別れるわけにはいかないが、別れなければできないことがある。試練の間に最短最速で着きたいのに、それが叶わない。なんと面倒なことなのだろうか。
もうこうなったら勘で突き進んで行き当たりばったりを起こそうかしら。とリズが自暴自棄になったときである。
「っ!ぎゃあああああああ!?!???!?」
なにか降ってきた。そう、なにか降ってきたのである。
その"なにか"は青年の形をしている。人なのだろうか。いやしかし、見た事のない服装である。南方の国オストレアの民族衣装に似ているが、あれほど露出が多いわけではない。
いくらオストレアが開放的な国でも、上半身裸はありえない。そしてまず、オストレアの国民がこんな所にいるはずがない。
不審者!?と思った三人と一体が取った行動。それは……
「「「きゃあああああああ!!!!!!!!!」」」
悲鳴を上げることだった。
しょうがないことである。彼女達は魔物(仮)を駆逐することは容易いし、魔物(仮)の死骸を見ることなど日常茶飯事だ。
しかし、いくら武闘派といっても生粋の貴族令嬢なのだ。男の上半身を見る機会などあるわけがない。つまり、耐性がないのだ。
そして、この青年。
「は!?プールは!?授業は!?てかどこ!?」
どこかの誰かに召喚された、哀れな生粋の異世界人である。
そして、ティナの視覚を借り、リズ達の様子を見ていたローゼは声にならない悲鳴を上げた。ついでに泣いた。
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