第33話:供給口と一撃とシルクハット
第33話
「どうなっているんだ‥はぁはぁ、最大まで速度を上げたが一向に近づかん」
レオンはかなり疲れているようだ。
「おそらく、空間に歪みを作っているんだろうねぇ。分かりやすく言えば、同じ場所をぐるぐる回っているのにそれに気付いていないイメージかな」
立花は分析する。
「これは、かなり力技に近いから出来ればやめたいなあ」
立花は独り言を呟いた。
「それでも、手っ取り早い方法はこれしか‥」
立花は腕を組みながらウンウン唸っている。
「何か手があるなら、言ってみたらどうだ?」
レオンは立花に話しかける。
「いやあ、そもそもこの空間全体が魔力の干渉を受けている。それなら当然、この空間への魔力の供給口がある。そこを潰せば、この結界は消滅するはずなんだけどねぇ」
立花は状況の説明をする。
「じゃあ、その供給口を見つければ良いんだな?」
レオンは辺りをキョロキョロ見渡した。
「供給口はもう見つけたよ。ほら、あそこだけ植物が生えてないだろ」
立花は草木が生えてない一部分を指さした。
「あそこに出来るだけ強い衝撃を加えると、供給口は壊れるけど、1つ問題が‥」
立花が説明をしている途中で、レオンは供給口に強力な一撃を与えた。
「ドカッ」
「これで良いのか?」
レオンが振り返った瞬間、攻撃をした場所が光り輝き‥
爆発した‥
「ドカン!!」
大きな音ともに空間全体が弾け飛ぶ。
「どうして君は最後まで話を、ゴホッ、ゴホッ」
立花は爆発の影響で木に激突して苦悶の表情を浮かべる。
「なんだ、爆発するなら早く言ってくれよ」
レオンは悪びれること無く言ってのけた。
「次は絶対にそうするよ」
立花は吐き捨てるように言った。
しばらく歩いて行くと洋館に到着した。
「ここに間違いなく涼子くんはいる。しかし、この中には外とは比べ物にならないくらいのトラップが仕掛けられているに違いない。幸いまだ時間に余裕はあるから、焦らず進まないとねぇ」
立花はそう言いつつ、扉を開いた。
中に入ると一人のシルクハットを被った男が立っていた。
「ようこそいらっしゃいました。我が主に変わってご挨拶させて頂きマス。私はこの洋館の執事、スミスと申しマス」
スミスと名乗る男は頭を下げる。
「一人で我々の前に出てくるとはいい度胸じゃないか。今すぐに剣のサビにしてやる」
レオンは剣を抜いた。
「待ちたまえ、どうして君はそこまで好戦的なの?」
立花はレオンを止める。
「あいつを半殺しにして、死神の場所を聞けばいいだろ。何故止める?」
レオンは憮然として聞いた。
「彼の胸に大きな熱源がある。多分彼にダメージを与えるとドカンだよ。さっきとは比べ物にならないくらい」
立花は虫眼鏡越しにスミスを見て答える。
「ご名答。流石にするどいデスネ。いい目をしてマス。この奥の扉に行きたければ、私からカギを奪ってみなサイ。ただし、無理な攻撃をすると爆発しちゃうかもネ」
独特の話をするスミスにレオンは苛立つ。
「いやあ面倒だねぇ」
立花は頭を掻きながら、スミスを見た。
「さあ、どうしますか?カギはココです。‥アレッ」
スミスは狼狽した。
「何だ本当にカギをもっていたのか」
レオンはいつの間にか右手にカギを持っていた。
「それにしても、意外と鈍感なんだね君は」
スミスに対してレオンは毒づく。
「よくもやってくれましたネ。私は慌てふためく姿が見たカッタ」
スミスは激昂した。
「こうなれば、命令に背くことになりますガ、仕方がありませんネ」
スミスは胸の爆弾のスイッチを入れようとした。
「勝手な行動は止めてほしいところだけど、今回は君の勝ちだねぇ」
立花は苦笑いした。
「スイッチってこれだろ?近づいたら脅すつもりだったのかな」
レオンのもう片方の手からスイッチを見せびらかす。
「ノォー」
スミスは絶叫して崩れ落ちた。
約束の時間まで後、14時間10分
第34話に続く




